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血を吸いたいだと？？コイツは死ぬ寸前に何を言っているんだ？？
「おい、テメェ、どういう心算だ。」
こちらの臨戦態勢は崩さず、警戒は強めたままそう問いかける。が、返事は無い。
耳も聞こえてないのか？？
「おい、応えろ。血を吸ってどうするつもりだ」
続けて問うても答えは返ってこない。
仕方なく女の前にしゃがみ、フードを取る。
露わになった顔を見て、ほんの少し、息を飲んだ。
整った顔立ちをした女だった。否、少女だ。
おそらくまだ…ベポと同じくらいか少し上か、それくらいだろう。
すっと通った鼻筋は高く、綺麗な弧を描いていて。伏せられた長い睫毛は月の光を浴びて滑らかな頬に影を落としている。痛みのせいなのか苦しそうに歪んだ眉は妙に艶っぽかった。
でも、そんなことがローの肝を潰したわけじゃない。理由は別にある。
少女は真っ白い肌を、していた。透き通るようなと表現すれば良いのだろうか、ローには分からなかった。だが、自身の根幹になる記憶を呼び起こすには十分だった。
大きめなフード付きのローブを羽織っていたので分からなかったが、近づくと随分と華奢な体格をしている事が分かる。こんな少女が、屈強な男3人を相手にするどころか、仕留めようとしていたのか。
女はもう完全に意識を失っている様だった。
能力を使い彼女の体内をスキャンする。弾丸は肝臓をしっかりと貫通していた。出血もかなりしている。このまま止血せず放っておいたら間違いなく死ぬだろう。
だが、俺はどこか不信感を感じていた。確かに重症ではあるが、あれ程の動きをしていた人間である。
撃たれた時も叫び声ひとつ上げていなかった、戦闘慣れしているのだろうか、と予測を立てる。
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作者名：幸せうさぎ | 作成日時：2023年2月10日 10時
