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十分に伝わっているはずなのに、知らないふりをしているのか
私を怒ることもなく、殺すこともなく、ただ自分の血を飲ませようとした。
ただでさえ恐怖で思うように体を動かせないのに後頭部を掴まれ、腰にも手を回され
身動きが封じられた。
そこに漬け込むかのように、乱暴に唇を合わせてきた。
「ぐっ、ぅん······ッ」
口の中に送り込まれてくるのは、彼の血。
飲まないように抵抗していると、舌が入ってきて、上顎を這った。
その度に力がふっと抜けていく。背中にぞくりと何かが走った。
息も出来ずに、口の中を荒らされて、空気を欲した体は血を飲み込もうとする。
苦しむ様子を見ている彼は、どこか楽しそうだった。
余裕そうな顔をして、眉が少し上がっている。
「んっ、ん······ッ、ゲホッ、ゲホッ!」
飲んでしまった。体が痛い、苦しい。目の前が霞んでいる。
荒々しい呼吸をしている私の側で、口許を上げ笑っている彼は鬼そのものだ。
「やはりお前は良い。もう順応したようだ」
こんなことを、何度も何度も繰り返していく。
ここは私にとって地獄でしかない。
·
·
·
「っ、ふー······ふー······」
嫌な夢だ。もう私はあの人の物じゃないのに、鮮明に彼の唇の触感が甦る。
布団から起き上がり、唇が痛くなるまでずっと洗い続けた。
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レミィ - 面白かったです!今コロナが流行っているので気を付けてください! (2020年3月9日 11時) (レス) id: edb0276662 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ - とても面白かったです!私もこんな小説が書けるようになりたいです! (2020年1月28日 16時) (レス) id: 113690dea7 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 零さん» 本当ですね、すいません!ありがとうございます! (2019年10月17日 1時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 「吾妻」じゃなくて「我妻」だと思います。間違ってたらすみません (2019年10月16日 23時) (レス) id: ac710565be (このIDを非表示/違反報告)
Kaede(プロフ) - 雪乃さん» 教えてくださりありがとうございます!すぐに直します!指摘コメントありがとうございました! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 7af5a2cf72 (このIDを非表示/違反報告)
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