自分のバイク ページ3
バイクの修理が終わる頃には
外はすっかり暗くなっていた。
「終わったぞー。」
龍の男が伸びをし、工具を片付け始めた。
「ありがとうございます。」
Aは支払いをしようと財布を取り出そうとすると
「勝手に俺がやっただけだから、いらねえよ。」
そう言い龍の男はヘルメットをAに被せた。
「え、でも、、、」
申し訳なさそうにするAに
店の奥にいた乾も
「言い出したら聞かないやつだから、そうしな。」
2人にそう言われ、渋々と財布を取り出そうとした手を下ろす。
「本当にありがとうございます。」
バイクも無事に動くようになり、帰ろうとしていたAを龍の男が店の前まで来てくれ、今後のバイクの扱いに対する注意などを教えてくれた。
「女でこのバイク乗るなら、メンテナンスちゃんとしろよ。」
そんなにこのバイクは女の子が乗るのは珍しいのだろうか?
確かに動かなくなったこのバイクを1人で支えて歩くのはとても力が必要だった。
「くれたやつにでも、きちんと教えてもらえよ?」
そう言葉をかけ、店に戻りそうな龍の男にAは
恐る恐る声をかける。
「あのー、これ人からもらったものじゃなくて‥」
「無知でバイク乗るのは馬鹿だろ」
思った通り龍の男は呆れていた。
きっと男にでももらったバイクを乗っている女と思っていたのだろう。
「馬鹿なんです。私、10年くらいの記憶すっぽり抜けて…」
「は?」
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作者名:もね | 作成日時:2021年7月24日 22時