反社とJK【灰谷蘭】

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夜、大きな足音、物音、扉の開く音。



酒瓶を片手に顔を真っ赤にしたお父さん。





お父さん？いやこれは、私には、化け物にしか、見えないんだけど。





酒瓶が割れたのは、私の腕に当たったからで、お父さんが蹲ったのは、酒瓶の破片が手に刺さったから。









目が覚めたのは、朝の５時。



部屋の絨毯が赤い。





妹の泣き声。父の怒鳴り声、母の謝罪。




カーテン越しに光が見える。


朝が来た。




ゆっくり立ち上がって、3人の寝室に向かう。








｢お父さん･･･｣








その一言で、お母さんは安心したような顔をする。



お父さんは鬼の形相で私の髪を掴んで、それから、いつも通り、記憶は曖昧に目が覚める。






声は出しちゃいけない。

うるさいから、余計にイラつくから。



泣いちゃいけない。

私は被害者じゃない。辛いお父さんの拠り所だから。



笑っちゃいけない。

挑発になるから。気持ち悪いから。



反抗しちゃいけない。

余計に怒らせるから。痛いから。





もっと、もっと、ポイントはあるけど。

なんだっけ。



あぁそう、1番大事なのは、殺しちゃいけないこと。犯罪だから。







今日は一段と荒れてたなぁ。



家を出ていった父を思い出しながら、そっと目を瞑る。







これが日常。

当たり前。





早く大人になりたい。






早く、早く、なんだろ。








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