13、カッコイイ ページ13
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「しょっぴくのなんて、いつでも出来んじゃねぇか」
「・・・まず、闇取引の内容が酷すぎること。
それから、」
また歩き出した時、旦那がポツリと呟いた。
それに対して、さっき攘夷志士たちが話していた内容を思い出して首を振った。
私の途切れた言葉の先を、旦那は静かに待つ。
「きっと、土方さんの私情ですよ。
大切な、愛した女の旦那があんなんで、自分たちのせいでその人が巻き込まれてる。
怒ってるんです。ずっと。
・・・それに、ミツバ姉さん、もう長くないから」
「・・・らしいな」
「聞きました?」
私の質問に、いや、と声を漏らし、雰囲気だ、と答えた。
やだなぁ、そんなの分かるもん?怖いなぁ。
「長くないなら、その間だけでも幸せにしてあげたい。
その幸せを、どう捉えるかが、きっと2人の違いなんです」
「嘘をつくか、嘘のない世界で生かすか・・・」
「うん、まぁ、土方さんはきっとそんな可愛い感情だけじゃないでしょうね」
「・・・お前さ、あの女に未だに結構、嫉妬してたりして」
ヒュオッと強く風が吹いた。
その冷たさに、旦那の言葉に身震いした。
この男の死んだ魚のような目は、いつも何かを捉えてる。
そんな気がしてならない。
旦那の言葉に私は微笑んだ。
ふふ、と声を漏らしてから、してますよ、と一言。
「ずるいじゃないですか。あの人が来ただけで、みんなこうも変わる。
私に暴言しか吐かない2人もあの人が来たら、こんなことになる。
まぁ、私なんかじゃ及ばないこと、100も承知ですけどね。
私とあの人じゃ比べるのも申し訳ない。天と地の差です」
「・・・そうだな」
「はは、旦那も分かります?
あの人は剣も握れません、人を傷つけられません。
私はいつも腰に剣をかけてる。
何十人も殺してきた。これがお似合いなんですけどね。
だから、ミツバ姉さんへの嫉妬は秘密。
笑いものにされちゃう」
あはは、と笑った。
旦那は私を見てないけれど、じっと前を見ながら
少し寂しそうな気がして。
優しい人だよな、このお人好し。って、思ったんだ。
「まぁ、なんだ、お前は、それでいいじゃねぇか。
自分の気持ち押し殺してでも、仲間のために笑って
自分傷ついてでも剣振り回して、
無理してでも笑うお前は、あの姉さんの儚さとかお淑やかさとか
そんなんには到底適わねぇが
この世の、我慢強さやら力強さの強いって面を見りゃ、お前がよっぽどカッコイイさ」
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あい(プロフ) - eight40094さん» コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー! (2021年2月9日 7時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
eight40094(プロフ) - あぁ、早く続きが見たいです!忙しいと思いますが、作者様頑張ってください! (2021年2月9日 3時) (レス) id: c00f201ead (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年1月30日 23時