55話 ページ6
『ヒッ』
「なんや、逃げるばっかはおもんないで？」
かろうじて小型ナイフを避けると、ゾムさんの少しだけ不満げな口元から、そんな声が漏れた。
途端に、トントンさんの腰の辺りから不穏なシャキン…という音がする。
「静粛したろか、お前ら…人が嫌がることをしたらいかんって、当たり前やんなぁ？」
静粛剣を構えているトントンさんに睨まれて、コネシマさんはうっと声を上げた。
「い、いや、違うねん。これはやな、えーと」
「お前ら二人とも、書類増やしとくから覚悟せぇよ」
「「頼むトントン、それは勘弁…‼︎」」
ギャーギャーと騒ぐ二人が、それを気にも留めないトントンさんに引きずられていく。
ひょいっと窓から入ってきたショッピさんシャオロンさんがコネシマさんの暴走が終わっているのを見て、慌てて私に駆け寄ってきた。
「Aさん足…！」
『へ、いき、ですよ』
嘘です…痛い。
少しだけ、妹からスマイル様を庇った時の記憶が蘇る。あれが初めての、大きな怪我だった。あのときは凄い出血と痛みですぐに気を失ったけど、今回は気は失えそうにない。
ただただ、痛い。刺さった状態でコネシマさんから逃げるために激しく動いたから、それもいけなかったな…
ショッピさんが急いで私を抱き上げた。
「どこが平気なんすか！医務室行きますよ！」
「ショッピ、お前はAさんの足痛まんように運ぶことだけ気にしとって！俺がお前を先導するから」
シャオロンさんとショッピさんに慎重に、割れ物を扱うように運ばれていく。
『……っ、』
自分が、情けない。痛みからくる涙に、少しだけ、自責の涙が混ざったかもしれなかった。
医務室のドアをシャオロンさんが開きショッピさんが医務室に入ると、私を見たきんとき様とぺ神さんは血相を変えた。
寝台に私を寝かすようショッピさんに指示した後、きんとき様は慌てて聞いてきた。
「A、この怪我どうしたの⁉︎」
『…私の、ミスで、』
「違うんすよ…クソ先輩とゾムさんがやったんです」
かくかくしかじか、項垂れながらきんとき様とペ神さんに説明するショッピさん、そしてシャオロンさん。
……申し訳ない…
____________
〜コメント返信〜
○らふ 様
コメントありがとうございます！
まさかの続編きちゃいました、感謝しかないです。神様なんてとんでもないです！これからもお楽しみに！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 477人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「WT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らーて - 初コメ失礼します。こんな素敵な作品が読めて僕は幸せです！。続き楽しみにしています。更新頑張ってください。 (2022年8月10日 15時) (
レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
涼夏人 - 失礼します。初コメです。この作品、神！神作！続き楽しみにしています。頑張ってください！ (2022年8月8日 16時) (レス) @page31 id: 8404a67f98 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - おかえりなさい！！自分もめっちゃ低くてやばかったです！ゆっくり待ってます！頑張ってください (2022年6月29日 14時) (レス) @page7 id: d3fac2225a (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - おかえりなさい！！僕の方がテストやばかったので安心してください…☆ゆっくりで大丈夫なので！！更新待ってます！、 (2022年6月28日 22時) (レス) @page7 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - おかえりなさい！お話はゆっくりで良いのですのよ！おかえりなさい(о´∀`о) (2022年6月28日 19時) (レス) @page7 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年6月12日 11時
