〈探偵チームkz事件ノート〉~出会いの物語は知っている~

第17話~私が思う友情~ ページ20

彩視点

若武「とにかく、俺はやるぞ！
俺のマウンテン・バイクを盗んだ犯人を必ず捕まえて、取り戻す！！」

若武はグルッと私達を見まわして怒鳴った。



すると、上杉クンが少し皮肉げに笑った。

上杉「じゃ、勝手にやれよ。俺は、おりる」

空気が張りつめる。

若武の顔が、スッと真剣になった。

メガネの向こうの上杉クンの目も笑っていない。

城戸さんの目は少し見開いていた。

もちろん、私も。

上杉「今週の三谷大塚のテストは、どうしても上位をキープしたいんだ。総合だから次の正会員資格に1番影響する。勉強時間が必要だ」

そして、キッと私達を見た。

上杉「お前らもそうしろよ。メンツより成績だ。こづかいは諦めろ。じゃあな」

そう言って上杉クンは背を向け、行ってしまおうとした。

貴方「あっ………」

私もどうしたらいいのか分からなくて、黒木クンを見た。


彩「……止めないの？」

すると、黒木クンはちょっと肩をすくめた。


黒木「上杉のことは、上杉の自由だからな…」


私は少し驚いた。

だって、女の子同士の友達なら絶対にこんなことしない。

相手のことを気づかいながら自分の思ってる本心なんて言わないし、言い出せない。

もしも言って相手に嫌われてしまったら、もう友達同士ではいられなくなる。

それはお互いでわかっていることだ。

それも言い合える、そんな男の子同士の友情に私は少し憧れる。

第18話~喧嘩？~→←第16話~借り過ぎ…~

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す