来年は *ツリメ ページ43
少し涼しくなってきた頃合いで、彼は狙っていたかのように散歩しようと私に声をかけた
いいね、の一言で彼との散歩が始まった
場所が近くの公園なんかどうだろうか、と珍しく彼は進行係に回っている
「緑の葉がもう全部ないよ?」
「秋だからね」
ツリメくんがとっても当たり前なことを言うので私も思わず笑ってしまう
さくさくと音を鳴らしてオレンジや黄色の落ち葉の上を歩く
上を見上げればまだまだ葉はついているものの、確かにツリメくんの言う通り緑の葉は一枚もない
「お弁当なんて持ってきても良かったかも」
私が小さな声でそう言うと彼はホントだ。と大きく頷く
少し振り返るように今年の夏を思い出す
「…私が風邪ひいたから結局お祭り行けなかったね」
そう言うと彼は少し嫌な思い出の様に眉間にしわを寄せる
「全然看病できなかった奴ね」
と自分で墓穴を掘っている
お祭り。実は結構楽しみにしていた私にとっては
あの日は少し堪える一日となったが
彼の必死に頑張ってくれる姿はとても嬉しかったので、きっと彼よりもいい思い出として残っていくのだろう
私は表情に出ていたのか彼は私の顔を覗き込む
「祭り行きたかったの?」
まるでドンピシャな言葉が言われ、私は驚いてしまう
「…分かる?」
私が自分の頬を押えてそう聞くと彼は優しく笑う
「来年は行こうね」
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そーにゃ(プロフ) - あやもちさん» コメントありがとうございます!短編なのに話が繋がってしまっていいか不安でしたがそう言ってもらえると嬉しいです!こちらこそ最後までお読みいただきありがとうございました!! (2017年8月1日 11時) (レス) id: d0b511bd78 (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(プロフ) - 素晴らしいエンドでしたサイコーです(早口)←ありがとうございました(*´∀`)♪ (2017年8月1日 2時) (レス) id: 6e3c6d7283 (このIDを非表示/違反報告)
そーにゃ(プロフ) - 三谷さん» コメントありがとうございます!短編集でありながら最後の話まで繋げると言うのも一つのテーマでした。気づいてくれて嬉しいです!そう言ってくれると嬉しいです!また機会がありましたら小説を書いていこうと思いますのでまたどこかでお会いしましょう! (2017年5月14日 23時) (レス) id: 794bc085aa (このIDを非表示/違反報告)
三谷(プロフ) - 毎回読むのがすごく楽しみでした!最後の結婚の話まで全部繋がってたんだなぁと思うとすごくキュンキュンします!またそーにゃさんのアバンティーズの小説を読めるのを楽しみにしています(´∀`*) (2017年5月13日 23時) (レス) id: f63b48d130 (このIDを非表示/違反報告)
そーにゃ(プロフ) - みなみさん» リクエストありがとうございました。喜んでもらえて良かったです。また何かリクエストがありましたらよろしくお願いします!今後とも短編集をよろしくお願いします! (2017年4月28日 20時) (レス) id: 794bc085aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そーにゃ | 作者ホームページ:http://puchiamatheater
作成日時:2017年4月2日 3時