愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

言ってほしいこと　*リクヲ ページ5

「愛ってなんだろ」

　小さく、かつ彼に聞こえる声で私はそう呟いた

　確信犯なところが実に性格が悪い

　目の前で流れる恋愛ドラマ、もはやこのチャンネルにしたところから私の計画は始まっていた

「えー愛ー？難しいなー」

　りっくんは本気で考えてくれている

「ぼくらみたいなのを言うんじゃない？」

　よくそんな臭いセリフ言えるね、と笑うと言わされたようなものじゃない？と言う

　全くその通りだ

　しかし今日言わせたいのはそれじゃないのだ

　ドラマのCMがあけると彼はまたドラマに目を奪われる

「えーじゃあなんだろうなー」

　間延びした声

　今度は完全に考えている風だ。頭は働いていないだろう

　私はめげずに声をかける

「愛って！やっぱり言葉で表さないと分かんないものだと思うんだよね！」

　少し声を荒らげて言うと彼はびくっと体を震えさせた

　しかしすぐに落ち着きを取り戻して

「そうかもねぇ」

　なんて言う

　違うよ欲しいのは同意じゃないよ
　
　またCMに入るところを見て私は電源を落とす

「…なに？」

　なんか言いたいことでもあるの？と聞くので

　私はぼそりと呟く

「どっちかって言うと言ってほしい事かな…」

　んー？と悩むりっくん

「…あっ分かった」

　彼はいきなりこちらを見て正座しだす

　私もつられて正座をする

「好きだよ？」

　ちゃんと好き。ともう一度言ってくれる

　不安になった訳じゃない

　ただ言って欲しかっただけだ

「…ばかりっくん」

　そういうと彼は笑いながらこう続ける

「えっ！なんでなんで！！」

惚れた弱み　*そらちぃ→←お酒　*エイジ

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