愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

拒む　*エイジ ページ37

「や」

　小さく拒否られたその言葉に思わず目を見張る

　こんなことは今までなかった気がする

　彼女はオレの唇に両手の人差し指でバツを作る

　顔は少し複雑な表情を浮かべている

「…え？」

　今日は珍しく彼女が寂しいからとアバンティーズハウスについてきた

　二人でアバンティーズハウスに行った。動画撮って二人で家に帰った
　
　それ以外に何もしてないのに彼女はキスを拒んだ

　こんなこと今までなかったから特にいい言葉も出てこない

　少し落ち込んでいると彼女は急にあわあわしだす

「あ、ちが、えいちゃん！」

　思わず下を向いていたオレの顔を彼女は両手で包んで上に上げた

　自然と目が合う

「あの、恥ずかしいんだけど」

「何をいまさら」

　キスがじゃなくて…と彼女は付け加えるように言葉を足す

　恥ずかしいからキス嫌がったなんて言ったらオレ許さないからね

　それとも他のメンバーが好きになったとか？

　いろいろな考えがぐるぐると回る

「さっきそらくんとキスしてたから、やだなって、……そらくんには言わないでね」

　そらくんが嫌いな訳じゃなくて、私が好きなのはえいちゃんだから、だから、だから

　彼女は慌てて言葉を探す

　でもその大半はオレの耳には入らない

　理由があまりにも可愛すぎて

　オレは自分の袖でごしごしと口を拭った
　
「これでもダメ？一日たたないとやだ？オレ今すっごい我慢できないんだけど」

　こんなに愛おしい彼女に気持ちを伝えることができない

　オレは口下手で、行動でしか表せないから

　嫌ならしないけど、そう伝えると彼女は少し嬉しそうに笑う

　次に触れたのは彼女の柔らかい唇

　彼女は顔を赤くして笑った

　Aはあのね。と言う

　次に言った彼女の言葉にまた可愛いと思ってしまう

　オレは毎日君に恋をしている
　
「久しぶりに凄く恥ずかしいかもしれない」

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