愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

おあいこ　*ツリメ　みなみさんより ページ35

「ねぇ」

「ん…」

　小さな声でそう声をかけられ私が振り返ろうとするより早く彼に抱きしめられる

　彼は私の首あたりに腕を回す

　私は彼の腕を包むように両手でつかみながら小さく首をかしげる

「どうしたの…。今日はまた一段と甘えん坊だ」

　私は片手を彼の腕から離して彼の頭を撫でる

　彼は短く、ん。と声を漏らした

「…今日は全然喋れなかったから」

　彼の声は少し怒っているようにも聞こえる

　私は今日一日を軽く振り返るが、一番に出る顔はエイジくんかもしれない

　これは。甘えていると言うよりは

「……嫉妬？」

　私はそう言って彼の頭から手をどける

　もしそうなら、彼にもなかなか余裕がないと言う事だろうか

　彼はしばらく何も言わなかったが、急に口を開いた

「かも、です」

　そうか

　彼は彼で余裕がないのか

「…この前」

　エイジくんの彼女さんとライブ言ったでしょ

　小さくそう言いうと彼も負けじと小さな声で謝るのだ

「じゃあツリメくん」

　私は彼の腕を振りほどいて向かい合う

　彼は少し頬が赤かった

　口元もへの字。泣きそうなの？

　私は彼とおでこを合わせてかるく笑う

「これでおあいこね」

　そう言うと彼はへへ、と小さく笑って言う

　お互いがお互いを支え合わないと立てない私たちは助け合って生きている

「…Aはかっこいいなぁ」


(リクエストありがとうございました。)

(情けない彼氏でごめんねみなみ)

飲みすぎ注意報　*そらちぃ→←名前を呼んで　*リクヲ　胡蝶さんより

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す