愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

いたずらっこ　*ツリメ ページ31

小さくバイブレーションが反応してlineのトークを開くと

　彼の寝顔の写真だった

　小さな画面の中で彼は気持ちよさそうに寝ている写真を

　…誰とは言わないけど、赤髪の悪戯好きの彼に貰ったのです

　こんなに可愛くてかっこいい人が彼氏なんだななんて思うと、少し身がすくむし

　何だか未だにふわふわするような感覚だ

　しかし、何故いきなり寝顔…

「…さっきから何見てんの」
　
　少しふてくされた様に彼が言う
　
　もしかしたらさっきまでずっと私に話しかけていたのかもしれない

「ごめん、なに？」

　私はとりあえず携帯をしまうと彼は怪しい、と呟く

「画像？誰かからのline？アバンティーズ？」

「…さ、さぁ」

　ウソの付けない私を見て彼はへぇ、と小さく呟いた

　彼の言葉は全部的を射ていて返す言葉もない。と言った処だ

「…見せてー？」
　
　そんな顔で言われたら仕方ない。隠すほどのものでもない

　私は、ん。と小さく呟き彼に携帯を渡す

　すると彼はすぐに取り乱す

「えっ！！誰、あ、エイちゃんだな！いつの間に…これいつの…」

「……消さないでね？」

　私はその写真欲しいのだからやめてほしい

　すると彼はいや消さないけど…。と後が続く勢いでそう言う

「…あ、分かった」

「何が？」

　そう聞くよりも早く、彼の顔が近くなっていて

　私は思わず目をつぶる

　すると小さく、そして聞き覚えのある効果音が聞こえる

　唇に感触はなく、目を開ければいたずらっこのような笑顔で笑うツリメくん

　彼が見せてくれたのは私の

　…完全にキス待ちの顔だ

　段々顔に血が上る。彼は声を上げて少し笑ったあと、目元に浮かぶ涙を拭いた

「これでおあいこね！」

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