愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

夏風邪　*ツリメ ページ17

「だだだ大丈夫?平気？」

　何個もつきそうな勢いで心配するツリメくん

　なんとも悲しいことに

　夏風邪と言うものを引いてしまった
　
　私はベッドの上で上半身を起こして心配そうにこちらを見るツリメくんを見て割る

「普通の風邪だよ」

　大丈夫だよ、という意味も含めてそう言うけど彼はまだ心配そうな目でこちらを見る

　私は少しふざけて今日の予定の話をする

「あ…お祭りに行けなくて悲しいんだ？」

「ちが、…それもあるけどさ」

　ぶすっと彼は唇を付き出す

　薬とか持ってくるね、と彼は部屋を出る

　…家のお手伝いをまるでしないと言ってもいいツリメくんは薬の場所なんて知っているのだろうか

「A−？薬どこー？」

　答えはNOなようで

　その後もおかゆ作ると意気揚々と部屋を出るも、調味料の位置が分からなかったり

　味も美味しいとは言いずらい

「…なんかごめんね」

　とっても元気がなくなってしまったのは私よりもツリメくんで

「大丈夫だよ？今日はありがとね？」

　私は結構楽しかったよ。と素直に伝えるけど彼はまだ納得していないようだ

　何かいい方法は、なんて考えるけど

　私はあまり頭が柔らかい方じゃない

　私は頑張って身を乗り出して彼の口にキスをする

　驚いたように目を丸くする彼をおいて、私は布団に潜る

「おやすみ！」

　と大きな声で言うと圧倒された様で

　彼はいつもよりも小さな声で返事を返す。布団から少し彼の顔を覗くと赤い顔をしている

「お…おやすみ」

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