愛して恋して ≪アバンティーズ 短編集≫

悪魔の誘い　*そらちぃ ページ15

*アバンティーズ、そらちぃ・エイジ、ダイエットを始めます！！

　画面の遠くに映るそらが大きな声でそんなことを言う

　…私聞いてないよそらさん
　
　私はパソコンの電源を落としてとじる

　何のこともないと言った表情で、私は眠そうに目をこする彼の前に座る

　今日、晩御飯あまり食べなかったのはそう言うことかとようやく理解した

　目の前に座ったからか、彼はまん丸の眼をしてなに？と短く言う

「食欲の秋ですよ」

　私はぼそりとそう言うと彼はうっ、と小さな悲鳴が漏れた

「ま、まさか貴様動画を…！」

「全国配信のYouTubeに上げたのが運の尽きだよそらさん」

　さっきお腹鳴らしてたのも気づいてるんだからね

「ねぇ」

「…や、やめないからな！」

　動画であげちゃったんだし、と彼はもっともなことを言う

「そうじゃなくて」

　いち意見として、ただの視聴者Aとして聞き流してくれて構わないんだけど

　少し長い前置きを置いて私は口を開く

「わ、…私は、今のままでもかっこいいと、思うし…」

　さっきよりもさらに驚いた表情のそらを横目に私はまだ言葉を続ける

　ずっと後ろに隠していたドーナツをおもむろに包装を開けて両手で彼の口に近づける

「無理はしてほしくないな？」

　彼は最初、屈しないとでも言う様に眉間にしわを寄せていたが

　一分もしないうちにドーナツにかじりついた

「ああぁぁ…夜に間食…うまいけども…！うまいけども！」

　彼は私の持っていたドーナツを受け取って、少し悔しそうな顔をする

　いつもより少し騒がしい彼は、エイジくんに負けず劣らす負けず嫌い

「明日から頑張って私もヘルシーなの作るね」

　ついでに私もダイエット始めようかな、なんて小さく呟くと

　彼はドーナツを食べる手を止めてこちらを見る

「…今日から？」

「じゃあ今日から！」

　そう答えると、彼が持っていたドーナツのかけらを私の口に入れた

　私は無意識に口を閉じると、甘い味が口の中いっぱいに広がる
　
　訳も分からず止まっていると、今度はいつもの様な意地悪な表情を浮かべてクスクス笑うのだ

「じゃあAも同罪な！」

雪　*エイジ→←いたずら　*ツリメ

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