27話(過去) ページ28
「……千斗……」
「A……」
兄さんの病室で、父さんは千斗を罵倒した。
目を覚ました兄さんを見て、父さんは幾分かはおさまったけど、私と千斗が恋人関係だと知ると、また顔を真っ赤にした。
「別れなさい、A!」
「父さん……」
「……父さん。……Aと二人で話がしたい。……千。病室のドアに書いてあったやつ、見えなかったか?」
「万……」
兄さんは諭すように言った。
父さんと千斗はそれに従った。
二人が出たのを見計らい、兄さんは私をベッドの側にある椅子に座るよう促した。
「……そんな顔するなよ、大丈夫だから」
「……大丈夫じゃないよ……」
「……A。しばらく千から離れるんだ」
「! どうして……?」
優しい顔で、兄さんは残酷なことを言う。
私は、千斗が好きなのに……。
「前話した、九条って男が絡んでいるかもしれない。……お前まで俺みたいな目にあったら、父さんも千も悲しむ」
「っ……。……かんがえ、させて」
「……うん」
その後。
私が答えを出す前に、兄さんはいなくなった。
私は父さんに家に戻され、以来、千斗と音信不通となった。
それでも、ステージに立ってキラキラする二人を応援したくて。
美容系の勉強を頑張った。
頑張って頑張って、ある日、私は家出した。
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作者名:通りすがり | 作成日時:2019年7月8日 9時