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15話 ページ16

「……で、どうしたんだ?」


私はあえて社長のことを伏せた。
伏せたまま、Re:valeのスキャンダルネタを待っている人がいることを話し、俯きながら、呟いた。


「……私、アイドルを好きになれない」

「……」

「"どうしてこうなった"、って原因を突き詰めれば突き詰めるほどどうしようもない原因で、誰のせい、って考えれば考えるほどわからなくなっていたの……」

「A……」

「百瀬くんが悪いわけじゃない。でも、私は思っちゃうの。"なんであんたがそこにいるんだ"って……」


ずっと溜め込んでいたものを、吐き出す。
思えばいつもそうだ。
私は兄さんに甘えてばかりだ。


「兄さんが怪我したのは九条のせい。九条を狂わせたのはゼロ。ゼロが原因でみんな狂ったなら、アイドルなんて……!」


兄さんは困った顔をした。
当たり前だ。
私のこれは、半ば八つ当たりなのだから。


「……百くんに、ぶつけたいなら正面から向き合いなさい。あの子は受け止めるよ。Aからの罵倒も、気持ちも、何もかもあの子は受け止める覚悟がある」

「百瀬くんを恨んではないの。……感謝している。これは本当。兄さんと千斗が創ったものを守ってくれたから。……でも、私は……」


これはワガママだ。
わかっている。
五年間の鬱憤を兄さんに当てているだけだ。


「私は、それでも兄さんにRe:valeをやってほしかった……!」


なんでメイクアップアーティストになったの。
もう、理由がわからない。

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作者名:通りすがり | 作成日時:2019年7月8日 9時

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