漆黒の狗は黒の時代でも困っていたそうです5【文スト】【芥川成り代わり】

第百七十三話『泣カセマクリ』 ページ16

『太宰さん！本当に結婚するんですか！？』



太｢当たり前だ｡首領が良いと云ったんだ｡これ以上に何を求める？｣




太宰の執務室へ戻り芥川は彼に猛抗議する




『僕の気持ちは！？僕はまだ承諾したわけでは』




先を歩いていた太宰はピタリと足を止めて芥川を見る｡
彼の顔はとても驚いていた




太｢君は私のことが好きじゃないのかい｣



『好きです』



太｢私について行くと云ったよね｣



『云いました』



太｢じゃあもう結婚じゃないか｣



『どうしてそこでそうなった』




太宰も太宰だが､森も森だ｡
何故､芥川と太宰をくっつけさせたがる？
今回の構成員謎の失踪殺害事件を緩和させる為か？




太｢Aちゃん､結婚まであと二年だ｡
けれどお付き合いがまだだよね？という事で付き合おうか｣



『だから僕は男で……』




否､しかし芥川と太宰が結婚すれば事件が無くなるとは限らないが……




太｢それだよ｣




芥川は考え事をしていたら突然､太宰に両手で顔を掴まれる
驚いて目を見開けば目の前には悲しそうな顔の太宰




太｢慥かに君は男として生きていくと決めた｡
私はその決意を無駄にしてほしいとは思わない｡
しかしね､私との付き合いを真剣に考えて欲しいとも
思っている｣



『……』



太｢私は本気だから｣




真剣な眼差しで芥川を見つめる彼の瞳は
これ以上ないくらいに力強かった




『……噂ではたくさんの女性を泣かせると聞きますが』



太｢あ〜､とりあえず寄ってきた女性を口説いて
君の事をどう思うか聞いているんだ｡
良く思っていたらそこで突き放すけど､悪く云っていたら
拷問部屋に連れて行く｣



『……泣かせまくりじゃないですか！
拷問部屋に連れて行くのもどうかと思いますが！』




思わぬ行動に芥川の突っ込みが止まらない
芥川の予想の斜め上を行く彼の言動に溜息しか出ない




『……判りました』




何があっても彼は二年後にはポートマフィアから抜けるのだ
故にどんな約束も全てチャラになる




『僕が十六になるまでに貴方は僕を惚れさせてください』




目を丸くした太宰は何かを考えた素振りを見せた後に大きく頷いた




太｢望むところだよ｡絶対に君を堕とすからね｣



『なのでこれ以上……構成員を殺すのは辞めてください』



太｢……はあ､判ったよ｣



『約束ですよ』




はぁい､と呑気に返事をする彼に不安が拭えない
しかし約束はした､だから大丈夫だろうと溜息を吐いた｡


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