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第八話【貰っとくのが正解】 ページ9

それから数ヶ月後




『いやぁ、まさか貴方に会えるとは』




「私も驚いたよ。まさか君があの檻から抜け出しているとはね」





龍頭抗争七十一日目
私はボケ〜と公園のベンチで空を眺めていた
するとそこに友人が来て隣に座った





『貴方は相変わらず退屈そうな毎日を送ってそうですね』




「そういう君はどうなんだ?生きる希望さえ抱いていなかった君の瞳は今とても輝いて見える」




『ふふっ。そう見えているのなら嬉しいなぁ』





どうぞ、とお茶の缶を渡す
自動販売の当たりでもう一本貰えたからお父さんにあげようと思っていたものだ





「私は要らない」




『こういうものは取り敢えず貰っとくのが正解だよ』




「……そうなのか。なら頂こう」




『で?貴方が龍頭抗争の首謀者?』





彼は口角を上げ、なんの感情もない赤い瞳を此方に向けた





「……君も参加するか?」




『うーん、楽しそうだけどやめとく。お父さんに怒られる』




「君に父親はいたのかね?」




『ふふ、いるよ。強くて逞しい父親がね』




「────A」





声がした方を向けば話題の人物が立っていた
相変わらず優しく、温かい声だ





『お父さん!』





私はベンチを離れお父さん────福沢さんの元へと駆け寄る





「隣に座っていた男は……」




『旧友だよ!でも彼の人は忙しいからもういいの。またね、澁澤君!』





バイバイと手を振ってお父さんの手を握る
澁澤君は手を振り返してくれた





『お父さん、煮干の匂いする。また猫と遊んでたの?』




「……直ぐに煮干し咥えて逃げられた」




『うーん。また顔が怖かったからかなぁ』





そう云うとあからさまに落ち込む彼に冗談だと笑う


近くの甘味処へと足を運ぶ
そこには乱歩君、晶ちゃんがパフェや善哉を食べていた





『乱歩君!晶ちゃん!私もそれ食べたい!』




「Aは三色団子があるよ。食べるかい?」




「えー、Aは善哉を食べるよね?」




「乱歩さん、それ餅しか無いンだけど」




『わーい!餅〜』





大好物を目の前に出されてテンションが上がる
三色団子も(乱歩が食べた餅のみの)善哉も大好きだ





『お父さんは何食べる?』




「私はいい。お前達が食べろ」





と云うお父さんの口に三色団子を突っ込む
驚いている顔を見てニヤリと笑う





『こういうものは取り敢えず貰っとくのが正解だよ』





お父さんは柔らかい笑みを浮かべた


.

第九話【武装探偵社のアルバイト】→←第七話【宝箱と宝物】



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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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