第四十一話【金髪の依頼人】 ページ42
本は書ききれてなく、まだ作家ではない。
しかし今後、素晴らしい本を出す予定なのだ。
『織田作の本は売れるよ』
「……そうなるように頑張る」
「頑張ってください!応援してます!」
ほのぼのとした空気となるが、敦君が我に返った。
「うーん、役者?」
「違う」
「小僧」
不意に国木田君が声をかけた。
そして私を指さして眉を顰めた。
「織田もだが、中里の前職も中てられていない」
「え!中里さんにも前職が!?」
『昔だけどね。よくもまぁ働いたよ』
少しだけ昔を思い出して顔を歪ませた。
あの時は理解出来なかったが、あれは地獄だ。
えげつない量の殺人と暗殺に手を染めたものだ。しかも何の為に殺るのかよく判らないまま任務を遂行していた。
「……ちなみに中里さんの懸賞金は」
『二百万』
「に、に……ひゃっ」
敦君の目が先程よりも煌めく。
そりゃそうだ。私が武装探偵社でアルバイト期間を含め一番長く働いている。
その頃から私の前職は中てられていないので金額は膨大なものとなった。
……まあ、あれを職と云えるのかは判らないが。
『挑戦する?』
「します!!」
敦君が元気よく手を挙げた時だ。
谷崎君の携帯が鳴った。
「ハイ……え、依頼ですか?」
谷崎君の話によると女性が一人、依頼で訪ねてきたらしい。
『よっしゃー!行くぞ!皆の者ー!我について参れ!!』
「静かにせんか!莫迦者!」
「えぇ……懸賞金……」
「また今度にしよう、中島」
「それじゃあ行きましょうか」
「とっても楽しかったですわ」
皆は席を立ち、会計へと向かう。
勿論、全て国木田君が奢ってくれた。(織田作も出したらしい)
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急いで探偵社に戻り、依頼人と対面する。
私とそう齢が変わらない金髪の子だった。
「……あの、えーと調査のご依頼だとか。それで……」
谷崎君が本題に入ろうとしたところで私は依頼人の隣に座ってすぐさま茶菓子を勧めた。
『お姉さん!この和菓子食べない?』
「へ?」
『これ私が一番好きな饅頭で中に餅が……』
まだ喋っている途中なのに国木田君からの拳骨を受ける。
「え?あ、饅頭?え、あの?」
「あ、済みません。饅頭は食べてどうぞ」
ズルズルと国木田君に引き摺られる私を依頼人はチラリと見ながら話を進めたのだった。
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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時