第三十四話【月夜の街】 ページ35
｢────白虎？｣
｢ああ､芥川に頼んだろ｡白虎を捕らえろって｣
青い月の下
二人の男が路地裏を歩く｡
｢私､そんなの頼んだっけ？｣
｢……手前､いい加減にしろよ｣
帽子を被った男は資料を片手に溜息を吐く｡
やはり昔から組んでいるこの相棒は手が掛かる｡
｢あぁ……でも先越されたらしい｡
私が手を回そうとしたら彼の子が先回りをしていた｡
全く､気が抜けないね｣
｢は？彼の子だァ？｣
眉を寄せ隣の男を見上げる｡
すると彼は表通りに出て指をさす｡
｢そう｡私と同じ“無効化”の……ほら､噂をすれば｣
その方向を見れば数人楽しそうに喋りながら歩いているを見つけた｡
資料で何度も見た､武装探偵社の社員だ｡
｢手前と同じ“無効化”って中里Aのことか？
……真逆､白虎は探偵社の手に渡ったのか！？｣
｢声が大きい｡そうだと云っているだろう？
……さあ､ここからどうしようかなあ｣
包帯を巻いた黒い服の男は､眼鏡の長髪の男に説教されている少女を見て楽しそうに笑った｡
｢……まあ､何があっても私は彼の子の味方でいたいけどね｣
月夜に照らされたこの街は
原作とは違う物語を紡ぐことになる｡
━━━━━
━━━
━
『久し振り､先生〜｡今日も元気に猫をやってるねえ〜』
｢……ニャァ｣
とあるBAR
元気のいい少女の声が響き､三毛猫は面倒臭そうに返事をした｡
『マスター､いつもの！』
少女は手を挙げてゆっくりと座る｡
すると目の前に赤紫の液体が入ったワイングラスが置かれた｡
『わぁーい､いただきます……ちぇっ､また葡萄ジュースか』
｢ニャァゴ！｣
『あだっ！』
顔横に猫パンチが飛んできた｡
勢いが強すぎて地味に痛いんですけど！？
『判ってるよ〜､未成年はお酒禁止だもんね｡
でも彼の人は……否､なんでもない』
顔を顰めて飲むが決して不味い訳では無い｡
とても美味しい葡萄ジュースだ｡
『ふふ､聞いてよ｡私ね､彼の真似して初めて入水をしてみたんだけど案外悪くなかったの｡
川の流れに身を委ねたらとても心地よかったよ』
息苦しかったけど､とつけ加えてワイングラスに口を付ける｡
そして不意に尋ねた｡
『……ねえ､先生｡私これからやってけるよね？
大丈夫だよね？ちゃんと上手く出来るよね？』
｢ニャァオ｣
猫は優しく鳴いた｡
私はそっと猫を撫でて葡萄ジュースを飲み干した｡
.
第三十五話【天才ではなく阿呆】→←第三十三話【月下獣と氷の花】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい！ (2020年5月26日 21時) (
レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください！！ (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らしろ | 作成日時：2019年6月21日 18時
