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第十九話【火花が散る】 ページ20

『乱歩君、あのね、私……』



「……A」




乱歩君は何かを察したのか私の前に来て頭を撫でてくれた。




『……ごめんなさい。
乱歩君の云うことを理解せずに自分勝手に行動しちゃって。』



「……うん、たくさん心配したんだからね」



『……ごめんっ、ごめんねぇ……』




涙がポロポロと零れてきて止まらない。

彼は少し笑いながら涙を拭いてくれた。




「僕こそ、ごめん。云い過ぎたところがある。
それと逃げ回ってたのも事実。ちょっと意地になってた。」



『……乱、歩……君』



「はーい、これで仲直り完了。
却説、A。私と一緒になにか甘いものでも……」




太宰君が私に手を伸ばすが、乱歩君によって叩かれる。

太宰君と乱歩君の間に火花が散った気がした……




「義兄さん、私は貴方の妹さんと食事をしたいのですが」



「誰が“義兄さん”だ!絶対に君だけにはAを渡さない!」



「……独占欲が強過ぎますよ、義兄さん。
ただ、彼女と食事をするだけなのに……」



「そんな見え見えの嘘、僕が判らないとでも?」



『乱歩君?太宰君?如何したの?』




あれ?この二人って初対面だよね?こんなに仲が悪いの?

二人とも頭が良いから話が合うと思ったのに……




『ほら仲良く、ね?』



「 「 無理だ 」 」



『えぇ……』




声が揃うくらいだからきっと仲がいいだろうと思うのに。


クスリと笑うと二人は互いを睨んだまま私の手をとる。




「帰るよ、A。福沢さんが待ってる」



「ほらほら、残りのわらび餅食べるよね?
ならば一緒にランチでもしようじゃないか」



『えっえっ……あの……』




何この突然のお誘い。

私はどちらでもいい。
乱歩君に謝ることは出来たんだし、目標は達成だ。




「……今日の昼食当番、Aでしょ」



『……あっ』




そうだった。今日は私が作る番だった……!
福沢さんがお腹空かせて待ってる!




『ごめん!太宰君!お昼ご飯作らなくちゃいけないから帰らなきゃ……』



「……そうか。判ったよ、それなら仕方がないね」




元気をなくした太宰君は悲しそうに微笑んだ。


……そんな顔してほしくないのに。




「帰ろう、A」



『えっ、あっ……うん!』




乱歩君に腕を引っ張られて太宰君と離れる。
太宰君はヒラヒラと手を振ってくれる。




『……太宰君!また今度!行こう!』




太宰君は少し驚いた顔をして嬉しそうに頷いてくれた。


.

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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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