unti-pirot

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深澤「康二さぁ、知ってたんでしょ？」
向井「何が？」
深澤「しらばっくれんじゃねえよ、「裏切り者」の正体」
向井「んふ！でも隠してた方がほら、面白かったやろ？」
瓦礫の山の上から宮舘と渡辺がお祭りの出店に興じているのを眺めながら、深澤と向井はそんな会話を交わす。

向井「九死に一生を得たなら、大人しくしとったらよかったんに」
深澤「人間の欲って言うのは怖いからねぇ」
パーカーのポケットからガムを取り出して、向井は1口放り込む。
くちゃくちゃ、という音を響かせて資料を読みながら嘲笑った。

向井「不正がバレて懲戒免職、借金に追われ「街」に迷い込んでそれやのにまたカジノで全財産失った、すごない？どこの映画よ。設定盛りすぎやで」
深澤「絵に描いたようなクズ男だね」
向井「挙句あべちゃんとこからお金借りて、返せんくなって、たまたま見つけたかつての部下のダテとしょったくんを葬ればええ、って。はー、そんな夢物語が成功する訳ないのに」
この「街」で、深澤が親しくしている人間に手を出そうとした時点で生きて帰れる訳がないというのに。

向井「大人しく、佐久間くんとめめきゅんの餌になってた方がまだマシやったんちゃう」
深澤「寧ろあんな人間にとっちゃどっちもマシでしょ」
向井「それもそやなぁ」
ぷぅ、とガムを膨らませ遊んでいる。
資料の男にも飽きてきたようだ。

向井「にしてもあの元海兵さん、ほんまにアホな人間やったなぁ？」
深澤「ふふっ、そうだね」
ヒラリ、と投げ捨てられた資料はそのまま喧騒の中へと消えてしまった。
きっと踏み潰され見る影もなくなっているだろう。
所詮ただのモブキャストなのだ、メインキャストに成り上がれる訳がないのだ。

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