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「…っ。」
.
目頭に熱が溜まってくる。
涼介は本当に優しくて、甘くて。
私のしてきたことは、何でも許してきた。
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だけど、私は?
大貴も涼介も、散々振り回して
私は自分のことばかりで逃げてばかりで。
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結果、大貴はいなくなった。
大貴がしてくれたことは受け止めたけれど、
やっぱり私がいなければ、大貴は苦しまずに済んだかもしれない。
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「…っ、私は…」
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涼介もそうだ。
私がいなければ、振り回されることなく
ちゃんと自由に恋愛をしていた。
こんなにカッコよくて素敵な人だもの。
他の人が黙っているわけがない。
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だから、本気で涼介を好きになってしまった私が、
唯一、涼介にしてあげられる事は…
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「いやだ。」
涼介「…っ。」
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「涼介のことは好きだったけど、付き合ったのは
大貴と別れた寂しさを埋めるため。大貴以上じゃない。
私にとって涼介はただの“幼馴染”。」
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涼介を拒絶して、涼介に嫌われて
涼介を解放することだけ。
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「それにもうあの頃の私とは違う。
いつまでも心配ばかりされるような私じゃない。」
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もう充分だから。
ずっと一緒に過ごしてきた、“ただの幼馴染”のことを気にして
あんなに優しくしてくれていたのだろうけれど、もういい。
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大貴が別れを告げた理由を黙っていたことも
ゆきちゃんのことを隠していたことも。
もう恨んでなんかいないし、
それどころか感謝してもしきれないくらい。
私の存在は、涼介にとって足枷にしかならない。
だから…
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「だから涼介。私は…」
涼介「とっくにわかってる。」
.
え、と聞き返そうとしたその瞬間…
その手が私の後ろ頭に触れて、
あっという間にその腕に包まれた。
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愛(プロフ) - おはようございます♪何回見ても泣けるお話です(泣)続編見たいです★楽しみにしてます(•‿•) (6月17日 7時) (レス) @page49 id: 170da3309e (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - ぱんださん» お返事遅くなりすぎて申し訳ございません…!何度も読み返してくださりありがとうございます。作った者としてこれ以上無い褒め言葉です。マイペース更新になりますがよろしくお願いいたします。 (5月27日 22時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ(プロフ) - 私はこの作品のファンとして毎度更新を楽しみにしていました。終盤は涙が止まらなくなることも多く、気づけばこの作品にのめり込み、何度も読み返しています。そして何度読んでも毎度号泣しています。今作も楽しく拝読しています。これからも陰ながら応援しています。 (2023年2月5日 7時) (レス) id: 399b55da19 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - るん。さん» 嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです。ちょうど今新作公開したので、お時間あればお越しください。 (2022年12月31日 18時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
るん。 - 本当に本当に本当にお疲れ様でした。最初から最後までとても楽しく読ませて頂きました。小説の本を読んでるかのように読みやすく感情移入しやすかったです。1番好きな小説です!また新作できた際には拝見させていただきます! (2022年12月18日 11時) (レス) @page49 id: fde368863d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2022年10月8日 0時