過去を捨てて【中堂系】

不自然１３ ページ16

あれから一週間。
経過観察のために一応入院して、やっと退院。
迎えには系くんが来てくれた。


「おい。帰るぞ」なんて病室に来た時には心臓止まるかと思った。

「系くんそんな優しいところあったんだね」って思わず零したら叩かれた。




そういえば自分が寝てた間のこと、全然知らないや。
ミコトとかに詳しく聞こう。
多分系くんは面倒臭いっていって教えてくれないだろうし。


とりあえず今一番気になることを聞いてみる。
返答は期待してないけど。



「そういえば犯人って捕まったの？」
中「あぁ。もう一人拉致されてたやつも保護された」
「ああ、花ちゃん？よかったぁ…」



…案外答えてくれるのね。

返答が来たことに調子に乗った私は、もうひとつ聞いてみることにした。


「私が寝てた間、何してたの？」

意識が戻ってからは、毎日病院来てくれてたけど。



そう聞くと、系くんは顔を真っ赤にして

「クソが！早く歩け！」

とスタスタと歩いていってしまった。



「な、なんでそんな顔真っ赤にすることがあるの！？
もしかして浮気してた！？」
中「バカか！！！俺がそんなことできる余裕があったと思うか！？」
「…余裕なかったんだ、嬉しい」
中「っ！！」


えへへ、と前を歩く系くんの隣まで走ると
チッと舌打ちをして、こちらを振り向いた。


中「ずっと心配してた！ラボの奴らに聞いてみろ！」
「いたっ！」


結構な力で頭を叩かれた。痛い！

でも、嬉しいな。私のことなんか心配してくれて…。



中「”なんか”なんて言うな。お前だから心配してるんだ」
「えっ…？」
中「全部口に出てる。」


そういって私の頭を優しく撫でると


中「お前がいつも気にしてるようだからいっておくが、
　8年前の俺にとって夕希子は大切なやつだった、何にも変えられないくらい。
　でも今はそれ以上にお前が大切だ」


…そうやって微笑まれたらもう何も言えないじゃん…。

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