過去を捨てて【中堂系】

不自然１２.５ ページ15

「け、いくん…」
中「お前…生きて…」


目を見開いて、私と距離を保ったまま動かない。


「何、死んだと思ってたの？」
中「あれからもう4日経ってる。お前は4日も寝たままだった。
　また…俺だけ残されたのかと思った」
「…」



きっと系くんは夕希子さんのことを言ってる。
夕希子さんのことは系くんの中でトラウマになったはずだろうし。




ううん、”はず”じゃない。トラウマになってる。

夜に魘されながら、寝言で「夕希子…」って連呼してるから。



私はやっぱり夕希子さんにはなれない。
代わりにも、なれない。




系くんをベットのそばに呼ぶと、その手をぎゅっと握る。


代わりになれないのなら
せめてそばにいらせて。

その思いを込めて手を握ると、思いが伝わったのか
優しく抱き締められた。

震えている体を抱き締め返して、伝える。



「私は、ずっと系くんのそばにいるよ。
どこかに行ったりしない」
中「…そうか」





あなたが誰を好きでいようが、私はずっとあなたのそばにいるよ。

不自然１３→←不自然１２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す