チーム ページ11
「朝見た企画、めっちゃ良かったから試しに言うたら通ったんよ」
何てことはないと笑っている濱田さんはやっぱり凄い人だった。資料もない状態でどうやって説明したんだろう。
「でも、一緒にって無理じゃないですか?」
大体一つの課に一つの企画案と決まっているし、人数的にも一つで精一杯だ。
「それは大丈夫。早瀬には濱ちゃん、しげには俺がついて企画やるから」
「俺はどっち手伝えばいいですか?」
「小瀧はどっちものサポート頼むわ」
「はい、分かりました!」
とんでもないことになった。同時にやるなんて聞いたことないよ。大丈夫かな。
「早瀬さん、心配せんでも大丈夫。他にもサポートで来てくれる人おるから」
「え、他にも来んの?」
「あぁ、手があいてるらしくて二人来てくれるらしい」
「楽しそうですね!しげ、早瀬さん」
ただでさえ騒がしい課がますますうるさくなりそうだけど、不思議とワクワクしてきてる自分がいた。
「じゃ、各自ばらばらに分かれて話するから」
部長は会議室を借りているらしく、小瀧くんとしげを連れてまた出て行ってしまった。
「さ、今日は二人でやけど話進めようか」
腕まくりをした濱田さんに頷いて、資料を印刷して話始める。
「この素材でこれは、斬新やねんけどちょっと難しいかもしれん」
私が作ろうとしてるおもちゃは、赤ちゃんが触るならもう少し柔らかい材質の方がいいらしい。
「それに、しげの作ろうとしてるやつと似てるとこがあるから修正せんとあかん」
最初から改善点が多くてへこみそうになるけど、明日からは人数が増えるみたいだし頑張らないと。
「お疲れ様、早瀬さんもう時間やで」
二人でどんなものがいいかとか、話し合ってるうちにあっという間に時間は過ぎて、定時になっていた。
「あ、ほんとだ。じゃあ、お先に失礼します」
濱田さん一人に任せるのは申し訳ないけど、部長も一人みたいだし仕方ないよね。
「A、」
しげと小瀧くんも定時に帰るから、今日は三人で途中まで一緒に帰る。
「珍しいね、この組み合わせ」
「俺、邪魔ですかね」
「ええねん、小瀧がおらな逆に困るわ」
いつもは二人で帰ってたのに、小瀧くんが入社してからは三人とか、小瀧くんと二人で帰ることが多くなった。
「俺ここで降りますね」
だから少しだけ、二人になれて嬉しかった。
「なににやにやしとんねん」
「別に、この感じ何か久しぶりだなって思っただけ」
99人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:七月雪 | 作成日時:2018年3月17日 21時