無気力 ページ40
丈一郎side
「丈くん、代わるよ」
流星がホールに居らんとの大吾からの情報に少し心配になりながらも、目の前で眠っとる大橋の見守りをしていると大吾が部屋にやってきた。
「流星どう？部屋に居るん？」
「せやね、一人にさせてって。籠ってて部屋に入れさせてくれへんの」
大吾が部屋に入ってきて早々、共有しているタブレットの看護履歴を確認しながら話す。
「俺も様子ちらっと見てくるわ。大橋頼むな」
「ん、了解。そっちも、流星お願いね」
大吾と入れ違いに大橋の部屋を出てその足で流星の部屋に直行すると、タイミング良くドアが開いて部屋から流星が出てきた。
「...ぁ」
小さく呟いたかと思えばすぐに部屋に戻ろうとする流星に、ドアに手をかけて閉め切られるのを阻止する。
「やめっ、離して...！」
「あかん、ちゃんと流星の気持ち教えてくれへんと...！」
ドアを閉める閉めないの攻防を続けるけど、一向にお互い引っ張り合いを止めへんからキリがつかん。
「何かしようとしてたんちゃうの？トイレ？......うわっ！」
お互い力任せに引っ張っていたのに、俺の言葉で急に流星がドアを引く力を緩めるから、思いっきり俺の方にドアが開いてバランスを崩す。
「...トイレ、行くからどいて」
「あ...うん...、行ってき...？」
俺と視線を合わせずに冷たく言い放つ流星がトイレに向かうのを呆然として見つめる。
いつもの調子のツンな言い方に案外大丈夫そうなんじゃ？とか思うんやけど、視線が合わへんのが未だ心を閉ざしてる流星な気がして慌ててトイレに行く流星の背中を追う。
「...あ、流星！部屋行かんで！」
トイレの前で待っていると出てきた流星が一瞬びっくりした顔で俺を見るけど、すぐに真顔に戻って部屋に行こうとする手を咄嗟に掴む。
「...離して」
「離さへん」
相変わらず俺の方を向こうとしやん流星の手を引っ張って無理やり俺の方を向かせると、静かに涙を流している流星。
「...あ、ごめん...痛かってんな？」
手を掴む力が強くて泣いてる訳やないとは分かってるけど、少しでも流星の涙の理由を知りたくて咄嗟に手を離して抱き寄せる。
「ホール行こ？今やと誰も居らんから」
そう言うと素直に頷いた流星の手を引いてホールに向かう。
とりあえずソファに座らせて、流星が前に大好きと言ってくれた俺特製の甘めのココアを作る。
キッチンから様子を見ても、昨日から見飽きるくらい見てきた流星の泣き顔にこっちまで心が傷んできた。
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ゆん(プロフ) - 佑妃奈さん» はじめまして！嬉しいコメントありがとうございます...！今後ともぜひよろしくお願い致します！＾＾ (4月16日 3時) (
レス) id: 03ea4d57a5 (このIDを非表示/違反報告)
佑妃奈(プロフ) - 飽きてませんよ!!恭平のお話好きです！ (4月14日 16時) (レス) id: 560bd373a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆん | 作成日時：2024年3月22日 1時
