自責 ページ19
謙杜side
もう面会時間も終わる頃らしく、恭平のお見舞いは明日行くことになった。
夕食の準備を始めた大吾くんを横目に、やることがなくてとりあえず目の前に置いてあるスマホを手に取り適当にSNSを流し見る。
「ｼｭｺｰｯ、謙杜...」
「んっ...なんですか？吸引？」
突然名前を呼ばれて、一旦スマホを置いて大橋くん近付く。
「ちゃう...ｼｭｺｰｯ、流星...ｼｭｺｰｯ、側に居ってやって...ｼｭｺｰｯ」
「流星くん？...んっ」
そう言われて見ると、未だに暗い雰囲気を漂わせながらソファでテレビを見つめる流星くん。
「ｼｭｺｰｯ、一人にしたらあかん...ｼｭｺｰｯ」
大橋くんの言葉にキッチンに居る大吾くんに目を向けると、俺たちの話を聞いていたようでアイコンタクトをしてから頷いてくれた。
「分かった、んっ...」
言われた通り、流星くんの横の空いてるソファスペースを陣取る。
横に居る流星くんをちらっと見て様子を伺うけど、相変わらずテレビを見ていて、いつもと違う雰囲気に少し怖くなる。
「...んっ、なぁ流星くん」
意を決して話しかけるけど、テレビから目線を逸らさず無反応な流星くんを不思議に思って顔を覗き込む。
「んっ...流星くん、流星くーん...流星くん！」
「...ぁ、え？何？」
「何回も呼んどるのに気づかんから...んっ」
「あ...ごめ...」
声をかけるだけでは気づきそうにないから流星くんの目の前で手をひらつかせて、やっとテレビから視線を逸らして俺と目が合う。
「...んっ...大丈夫？」
「.....大丈夫やで」
何を話したらええか分からんくて、とりあえず自分の心配の念を流星くんに伝えるけど、妙に空いた間が気になる。
「でも流星くん、んっ...いつもと雰囲気ちゃうやん...んっ」
「当たり前やん。さっきまで一緒に居った恭平が倒れて救急車で運ばれて...」
「んっ、せやんな...ごめん...んっ」
いつも優しい流星くんからの厳しめの口調に何も言えへん。
「...はぁ」
「ごめん...んっ、迷惑やったよな...」
「謙杜のせいやない、ごめん。...俺が全部悪いねん」
一つ大きな溜息を漏らす流星くんに気分を害してしまったかと思って謝るけど、さっきも大吾くんと話している時に出ていた “ 俺が悪い ” の言葉に返す言葉が見当たらない。
大橋くんをちらっと見れば無言で頷き “ とりあえずそっとしてあげて ” という意図をなんとなく汲み取って、流星くんが一人にならへんように横に居続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆん(プロフ) - 佑妃奈さん» はじめまして！嬉しいコメントありがとうございます...！今後ともぜひよろしくお願い致します！＾＾ (4月16日 3時) (
レス) id: 03ea4d57a5 (このIDを非表示/違反報告)
佑妃奈(プロフ) - 飽きてませんよ!!恭平のお話好きです！ (4月14日 16時) (レス) id: 560bd373a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆん | 作成日時：2024年3月22日 1時
