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(uno-side)


宇「不治の病だったんだって」



父親の事を呟いた詩に、そう言う。



宇「自分が助からない事を知ったら千弦さんは悲しむから、それなら恨まれた方がマシだって思ったらしいの。高倉さんも……こうなるくらいなら真実を伝えておけば良かったって後悔してた…」



夫を最後まで愛し、子ども達に会わせてあげたいと願った千弦さん。


詩が愛されてほしいと願い、母親が事切れた姿を目の当たりにして絶望したお兄さん。


ただ、母親に自分を見てほしくて、家族で笑い合う事を夢見ていた詩。


たった一人家族を想って、自ら嘘で真実を隠したお父さん。



宇「これが、高倉さんが私に教えてくれたこと」



何年も、もう気が遠くなるほど長い年月。


高倉さんは苦しみながら真実を背負っていた。



伝えるべきだと後悔したことも少なくなかったんだろう。それでも、当事者の意思を優先したんだろう。



宇「私が今詩に伝えたのは、詩に知ってほしかったの」



自分を責めてほしいんじゃない。


後悔してほしいんじゃない。




宇「詩はこんなにも家族思いな人達の一員だったんだよ」



愛されていたということを、知っていてほしい。





今の詩なら、受け入れられる気がして。



「そっか…」



伝えたのは、決して間違いではなかったと。



穏やかに微笑む詩を見て、そう思った。





「ありがとう、実彩子」




出来上がった料理を盛り付けながら、詩は独り言のように呟く。



「家族に沢山愛されて、AAAメンバーとしても愛されて、私って幸せだね」





私にとって詩は昔からの親友で。



出会った頃の詩が今の真実を知っても、きっと受け入れられなかっただろう。



……きっと、今でも完全には難しいかもしれない。



どれだけ頭で理解しても、罪悪感が完全に消えることはないだろうから。



──でも、今の詩は


──前を向ける力を持ってる



一人じゃ進めないときには誰かに頼ると言うこと。



時には立ち止まって、戻って。


そしてまた、歩き出せること。



初めて出会ったあの日から、詩は確かに前に進んでる。



……それに、今の詩には手を差し伸べる仲間だって沢山いる。





「ねえ、実彩子」


宇「ん?」


「私……お願いしたいことがあるの」



まっすぐに私を見るその眼差しに、私は笑って頷いたのだった。

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(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪しかもかなり長かった筈なのに一気読みして頂いたとは…!本当にありがとうございます!マイペース更新ですが、これからも精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致しますm(__)m (2019年6月22日 8時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - ものすごく楽しいです!!昨日から一気に読んでしまいました!これからも楽しみにしてますね! (2019年6月21日 12時) (レス) id: 9ac3551b76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年3月24日 19時

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