【rtrt】夢小説みたいな恋がしたくて夢小説書いていたけれどそれが現実になったら正直たまったモンじゃない《 完結 》

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｢じゃあ教えてくれたってええやん？｣
｢……藤瀬です｣
｢名字じゃなくて！下の名前！｣



｢……Aって言います｣


流石に名字で誤魔化すのは酔っていても無理か、と観念し名前を教えると仔犬のような可愛らしい嬉しそうな顔をされた。そんな名前1つで嬉しそうな顔しなくてもいいのに。なんて思っていると次はスマホを取りだし



｢なあなあ、LINE教えてくれへん？｣
｢え？｣
｢え、もしかしてキヨくんとはLINE交換すんのに俺とはしてくれへんの？えー！レトルトさん悲しいわあ｣
｢分かりました！分かりましたから！しましょう！｣
｢おん！｣



え、この人もう20後半だよね？なにこの子供ぽさもあるあざとい感じ。レトさんってこんなズルい大人するような人だったけ？ていうか、あのとき起きてたんだ

もう今日一日で色んなことが起き過ぎて夢かと疑ってしまいそう。キヨさんにも会って2人の本物のLINEも交換してって本当夢小説の主人公にでもなった気分



｢Aちゃん、なに飲む？｣
｢ほうじ茶ラテで｣
｢好きやな、それ、ほうじ茶ラテとカフェラテ1つずつお願いします｣



私の名前を呼ぶレトさんは何処か嬉しそうで、それこそ漫画や夢小説を読んで育ってきた私はこういう好意を都合良く勘違いしてしまいそうになる

まず、そんな淡い期待なんて持ったところで意味無いことなんて分かり切っているから勘違いまではしないけど、プリンと適当に買って貰ったお菓子と一緒に渡されたほうじ茶ラテは暖かくて心地良くて

やっぱ淡い期待を持ってしまいそうになった





けれど、その日以降レトさんと会うことはなく、普通の、レトさんと出会う前の朝から晩まで働く私の日常が戻っていた





ただ、変わったことと言えば、レトさんからおはようからお疲れ様おやすみまで毎日LINEが来るようになったこと

最初はマメに来るLINEに驚いたけど1週間近く毎日やり取りをしていたら自然に慣れ始め、何なら｢……レトさんって意外と構ってちゃんなのかな｣とか相変わらず応援している実況者にも歳上の男性に対しても失礼なことを呑気に電車に揺られながら返事をするのが日課になりつつあった



レトさんと連絡してても会おうという話にはならず、本当にあれで会うの最後だったのかな、なんて少し寂しい気持ちがで始めた頃


レトさんに会うことになったのは珍しく仕事が早く終わり定時までは行かなかったけれど19時には会社を出た、とある金曜日の夜だった

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