【rtrt】夢小説みたいな恋がしたくて夢小説書いていたけれどそれが現実になったら正直たまったモンじゃない《 完結 》

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｢いらっしゃい｣

最寄り駅同じだし駅近だからもうすっかり覚えてしまったレトさんの暮らすマンションのインターフォンを押せば少し痩せたのか窶れたようにも見えるレトさんが玄関の扉を開けて出迎えてくれた

そう見えるのはただの私の願望かもしれないけど

部屋に入れば前と変わらない玄関周りとレトさんのお家の匂い。少し緊張しながら｢おじゃまします｣と扉を閉めるといきなり抱き着かれた

少し痛いぐらい前から強く抱き締められるなんてこと、想像しては文章にするの多いけれど、実際されるのは初めてだからどうしていいのか分からなくなる



｢レ、レトさん？｣
｢お願い、もうちょっと、このまま俺の腕ん中居て｣



そう言って更に腕の力が強くなる

顔は見れないけど、安堵した顔でもしてくれてたら良いな、でもこんな口説き文句は何回も別の女の子に言ってきたんだろうな、とか期待しては別のことを想像してまた自分の心を自ら削っていく

この人と居たら少なからず傷付くのを分かっていながらも、こうやって少しでも期待を持ってしまうのは、レトさんが私のことを好きだと思っていたいから

暫くするとレトさんの腕が解かれ、漸く目が合う



｢外寒かったのにこんなところで立ちっぱにさせてごめんな、暖かい紅茶入れるよか、桃の紅茶好き？｣



頷くとレトさんは先にリビングの方へ歩いて行ってしまう。後を追い掛けリビングに入ると前と同じそこそこ整った生活感のある部屋、何処か生々しく感じて妙に緊張してしまうと同時にあの日のことを思い出してしまいそうになる

そんな気持ちの私を他所にレトさんは鼻歌交じりにキッチンでお茶の準備を始める。紅茶、好きだけど、なんで桃の紅茶？紅茶って茶葉は勿論フレーバーだって多いのにピンポイント過ぎない？

なんて思っていたのも束の間

レトさんのある実況を思い出してピンと来てしまった、桃の紅茶ってもしかして



｢特別なお客さんなんですか？わたし｣
｢そりゃそうでしょ、マスカットの方が良かった？｣
｢桃が良いです｣
｢じゃあ桃にしよか｣



レトさんにそう聞けば嬉しそうな笑顔を浮かべられ｢てかお茶いれてるんだら座って待ってなよ｣とソファーに催促されてしまった

コートを背もたれに掛け洗面所を借りて手を洗いレトさんが来るのを待っていると桃の紅茶か注がれたマグカップがテーブルに置かれる



｢どっから、どう話そっか｣



隣に座ったレトさんは少し困ったような声で私に話を切り出してきた

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