【rtrt】夢小説みたいな恋がしたくて夢小説書いていたけれどそれが現実になったら正直たまったモンじゃない《 完結 》

25. ページ25

▽





｢……嫌です｣


私が素直に頷くのでも思ったのか、それとも断られることを予想していなかったのか、レトさんは私の方を向いて少し驚いたあとまた眉間に皺を寄せる



｢玩具の1つ取られたからって拗ねないで八つ当たりしないでください、私にも、キヨさんにも｣

｢は？なんでキヨくんのこと気にするん？なに、キヨくんのこと好きなん？｣

｢そういうことじゃなくて！私以外に遊んでいる女の子いるんだから別に私じゃなくても良いんでしょ？って言ってるんです！｣




別にこんなこと言いたいわけじゃなかった

レトさんの都合の良い遊び相手で良かった
その他大勢の遊び相手の1人で良かった
私だってお互い都合の良い関係だと思ってた

連絡がこまめなのも別に嫌いじゃなかったし
恋人みたいな気分を味わえたのも楽しかった




｢なんで？なんでそんなこと言うん？俺Aちゃんにそんなこと言うてへんやん！｣

｢言ったじゃないですか！あの日の朝！別に私はレトさんの都合の良い女だって良いんですよ！けどなんで私はこんなに束縛されなきゃいけないんですか？彼女でもないのに｣




けどそれ以上踏み込んで来たのはレトさんの方

嫉妬も適度な束縛だって愛されているみたいで悪く無いかもしれないけれど、私はレトさんの何にもでもないのに、なんでこんなに縛られないといけないの？

お互いが都合の良い関係なら誰とご飯行ったって遊んだって問題ない筈なのに、キヨさんとご飯行ったら不機嫌になるレトさんの隣に居て、どうして気まずくならないといけないの？

私が感情昂って声を荒らげているからかレトさんも次第に声が大きくなっていたけれど、私がこの言葉を出すと図星だったのかレトさんは黙ってしまった




｢これ以上、振り回さないで下さい｣




ぐちゃぐちゃな感情のまま、思いの言葉をぶつけた筈なのに全然スッキリしない、むしろモヤモヤが増えてような気がする、ああ、もう！

嘘ついて偽りの自分もキャラクターも散々作ってきたはずなのに素の自分に戻ってしまったら不器用なまま、人の中身なんてそう簡単に変われないし



結局私はレトさんとどうなりたいのか分からない



彼女になりたい？お互いが都合良い相手？
それとも活動者と視聴者の関係に戻りたい？

静寂に戻ったタクシーの中で考えても考えても答えなんて見つかるはずなく、見慣れた最寄り駅で別れたとき、レトさんが最後小さく呟いた


｢ごめんな｣


の言葉は、誰に、何に、対して言ってたの？

26.→←24.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す