【rtrt】夢小説みたいな恋がしたくて夢小説書いていたけれどそれが現実になったら正直たまったモンじゃない《 完結 》

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｢てか顔洗うんやったらシャワー浴びたらええやん｣


抱きしめられたまま突如そう言われた。シャワー浴びて良いなら浴びたいけど、ここ男の人の家だし、レトさんの家だし、シャワーまで借りるのはどうなの？

てか私お風呂入ってないから冬とはいえ汗臭いんじゃ？なのに抱きしめられてるの？シチュエーション的には良いけど実際コンディション的に結構最悪じゃない？どんどん悪い方に考え過ぎて沈黙していると



｢あ、もしかして一緒に入りたかった？でも俺昨日の夜に入っちゃったんよ、もっかい入ろか？｣

｢一言もそんなこと言ってないです！もうシャワーお借りしますね！！なので出てって下さい！！！｣



なんて笑って言ってくるレトさんを脱衣所から追い出しもうヤケになってシャワーを借りてしまった

普段自分からしない匂いを纏いお風呂場から出るとドラム式洗濯機の上にスウェットとバスタオルが置かれてあった。紺色のスウェットの袖を通すとやっぱり少し大きめのサイズ、あんな可愛い言動でもちゃんと男の人なんだなと実感する



｢シャワー、お借りしました｣
｢ん、頭乾かしたるからここおいで｣



リビングに戻るとソファーに座って待っていたレトさんが自分の膝をぽんぽんと叩き私のことを招く

仕方なく膝の間に入ると肩にかけていたタオルで頭をわしゃわしゃとされる、美容院以外で人に頭を乾かして貰うなんていつぶりだろう

気持ちいいなあ、と思っているともう充分にタオルドライされたのかその手は止められた



｢自分と同じやつ使ってんのにやっぱ女の子はええ匂いすんな〜、どこもかしこもやわっこいし小さいし｣



御機嫌な声が後ろから聞こえてくる、頭のあったレトさんの手はいつの間にか私の手を掴んでいて掌を触られ、恋人繋ぎのように手を絡められる

すん、とうなじの近くで息を吸う音が少し擽ったくて笑いそうになっているといきなり痛みが走った


｢イッ…タ｣


いきなりなにするんですか、と声には出さないけど振り向いて少し睨むとレトさんは目を細めて


｢ん？マーキング｣


と満足気に言い出す。だからと言って噛むの？！そんな私の思いは言葉に発する機会などなく、顎を捕まれ無理矢理前を向かされ、またうなじに唇の感触が伝い舌で歯形をなぞれまた同じところを噛まれる


｢消える前にまた家に来てな｣


……言いたいことは沢山あったけれどそれ以上の言葉はいつの間にか近くにあったドライヤーの音で掻き消されてしまった

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