【ab】りんご系少女は今日も髪を揺らす《 完結 》

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次の日の朝もアブさんが最寄り駅で
途中下車して待っていてくれた

真っ直ぐ行ってしまった方が速いだろうし
私の安全を優先してくれることが嬉しかった

何だか本当に彼女になったんだって
数ヶ月経った今やっと実感した








｢アブさん、あの｣

｢何？また痴漢された？｣

｢いや、そういうんじゃ……｣








2人並んで電車に乗っている
見慣れた窓の風景はいつもと違う

好きな人と見る風景は全て特別で
好きな人に話す言葉だって特別

だから私がお家来ませんか？って言ったら
ママに会うわけだから緊張する








｢あの、来週の土曜日暇ですか……？｣

｢そこまで暇じゃないけど
デートのお誘いなら喜んで快諾するよ｣

｢家、来ませんか？
ママがアブさんに会いたいって｣








ママが会いたいって言わなければ良かった
親に紹介するって言ってるもんだし
まだ紹介するのは早かったのかもしれない

後悔に襲われる
ガタンゴトンと揺れる電車で酔ってしまいそう
だけどアブさんはいつも通り涼しい顔で








｢うん、良いよ｣








普通に返事をした
私が悩んでいるのが嘘みたいに快諾されて
脱力してしまいそうだった

来週の土曜日何を着ようか何を用意しようか
そんなことばかり考えてしまう

両想いだって分かってから初めてのデート
こんなにも楽しくて良いのかな？









｢色々用意しておきますね！｣

｢うん、楽しみにしてる｣









笑顔を向ければ笑顔を返してくれる
アブさんも楽しみにしていてくれているのが
とても嬉しくて上機嫌で電車に揺られた

自分の考えで頭がいっぱいだった私が
横にいるアブさんが少し緊張しているのを
この時の私はまだ知らなかった

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