【ab】りんご系少女は今日も髪を揺らす《 完結 》

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家の最寄り駅まで送ってもらったけど
ドキドキとした感覚のまま
家に帰った今でも忘れられず胸が騒がしい








真っ直ぐに見られた真剣な眼差し

初めての告白

そして好きな人が本気になってくれた








自惚れてしまって良いのかな
あのキラキラした先輩が
私のことを本気で好きなんて

嬉しくて泣いちゃいそうだけど
それよりも不安の方が勝っていた

もしも私がアブさんの好きな人として
足りてない部分が多すぎたら？

あの人のことなら足らない部分も含めて
今のAちゃんが好きだよ
って優しい笑顔で言ってくれそうだけど









｢あ、Aお帰り
今日は先輩に送って貰ったの？｣

｢うん、そうだよ、アブさんっていってね
私が中1からずっと好きな人｣

｢へぇー、かっこいい？
てかその人と付き合ってるの？｣

｢本当にかっこいい、王子様みたいに素敵
大変恐縮ながらちゃんと付き合いしてる｣








家に帰ってご飯の支度をしていたはずのママは
私が座っていたソファーの近くまで来ていて
目を輝かしてニッコリと笑った









｢ママ、彼氏さんに会いたい〜
イケメンの彼氏さんに会いたい〜！｣

｢え、でもほら！向こう受験生だし！
生徒会副会長だし！邪魔になっちゃうからね！｣

｢良いじゃん良いじゃん〜
パパも生徒会やってたけど全然余裕だったわよ｣

｢パパとママの時代と今の時代じゃ
学校同じでも忙しさ違うかもしれないよ？｣

｢平気平気、そういう男は余裕持ってナンボよ｣









胸を張って言うママは私の学校の卒業生で
普通科だったけども優秀で
よく生徒会にも顔を出していたらしい

うちの学校はエリートコースこそが
全てみたいなところがあるけど
そのへんは30年前と変わらず
むしろ伝統なのかもしれない









｢……アブさんの予定聞いてからね｣

｢土日ならいつでも良いからね〜
うふふ〜美味しいもの用意しておかないと〜｣









猛プッシュのママに押し負けてしまったけど
承諾した瞬間申し訳ない気持ちに襲われた

上機嫌なママとは反対に憂鬱な私
ため息を吐いたって現状は変わらない

とりあえず勉強でもしようと
リビングを後にして部屋に戻った

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