【ab】りんご系少女は今日も髪を揺らす《 完結 》

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｢本気なんですね｣








不機嫌な俺に対して
はすおは少し笑いながら言った

本気この俺が……？
女の子に対して本気になんて








｢アブさん今までだったら
彼女がどこで何しようが興味なかったのに｣

｢こんな些細なことで嫉妬するぐらい
本気になっちゃってるんですよ｣








確かに今までだったら何処で何をしているのか
誰と居ようが誰と寝てようが関係なかった

だけどこのモヤモヤやイライラは嫉妬で
こんな複雑な気持ちになるのは初めてで
きっとこれを俗に『 恋 』と言うのだろう









｢ちなみに俺とAはただの友達
中等部からの仲ですけどどちらかというと
召使いみたいな立ち位置になってます｣

｢俺繋がりでぴーちゃんとも仲良いし
キヨくんは中等部の入学式のとき
お世話になったみたいですよ｣









となるとレトやんもキヨくん繋がりで
仲良くなったって感じかな

友達ってだけならば良いけれど
そこに恋心下心があるなら話は別だ

俺ほどではないけどみんなイケメンだし
俺ほどではないけどみんな面白いし
俺ほどではないけどみんな優しいし

どうなのかと思っていると
何かを感じ取ったのかはすおが話始めた









｢多分1度ぐらいはみんなAのこと
好きになったんじゃないんですかね｣

｢でも1年のときは3年の教室がある方を
2.3年のときは高等部の校舎を
ずっと目で追っていたんです｣

｢6月の忙しい文化祭やテストや頑張っているのに
みんなに接するとき人前に立つときは
凛として涼しい顔をしている貴方を見て｣

｢そんな姿を見せられたらもう諦めるしか
出来なくなっちゃうんですよね｣

｢Aって天然だし割とモテるんですけど
アブさんを追っているAを見ると
みんな応援してしまうんですよ｣









ツラツラと話すはすおの言葉に胸が痛くなった
俺はそんな想いを持っていた子を
弄ぼうとしてたんだって









｢だから今、俺は安心してます｣

｢え？｣

｢遊び人だった貴方がこうやって嫉妬して
Aのことを好きになってくれたので｣









そう言って笑うはすおの顔は
何処か寂しそうで辛そうで
だけども俺達を祝福しているようにも見えた

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