Atlas

呼び出し ページ42

隆二Side



臣を俺の家に呼び出した
「久しぶり」からはじまって他愛もない会話を続ける


「で？今日急にどうした？」

「あぁ…あのさ、結婚……したの？」



急に本題を切り出してきたから俺が最初戸惑ったけど
思い切ってきいてみた。
そしたらいつもはポーカーフェイスを決め込む臣の顔が一瞬崩れた
でも、すぐに何かを隠したように笑って見せ




「うん、したよ」




それがどうかした？みたいな顔して言ってくる




「あ、もしかして報告しなかったから怒ってんの？わりーわりー。急だったからさ」




何が急なわけ？結婚したの2年以上も前の話でしょ？
なんならその２年間の間に何回も俺たち会ってるよな？
俺に言えない理由ってわかなちゃんの代わりにしてるからでしょ？
全部、聞いたよ？




あの日、


臣の嫁だというAちゃんに。





「まぁ、俺もいろいろあんだよ」




いろいろってなに？Aちゃんをわかなちゃんの代わりにして傍においてるだけで
そんなのだれも報われない




「なぁ？報告しなかったことぐらいでそんな怒んなって…」





臣は何にもわかってない






そんなことで怒んねぇよ





このままじゃ臣もAちゃんも幸せになれない





「なぁ臣？桜ってさ散りゆく儚いものだからキレイなんだよ」

「は？」




１年のうち咲き始めてから１か月もしない間に散ってしまう
ましてや満開の時なんて１週間もない

そんな１年で少しの間しかみえないから特別なんだよ



臣にとってのわかなちゃんがそうでしょ？
正直わかなちゃんと一緒にいるときの臣の優しく笑いかける顔は今まで見たことなかった



出会って間もないけど柄にもなく運命ってあるんだなって興奮して俺に話しかけてきたのを今でも鮮明に覚えている




でもさ、わかなちゃんは何も言わずいなくなった




警察の現場検証から『おそらくもうこの世にはいない可能性が高いだろう』と臣に直接は言ってなかったけど、他の仲間たちと喋っているのが聞こえてきた

その現実を受け止められなかったんだよな

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