├ 深海のまちに来た理由 〜 失くしもの ページ12
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【深海のまちに来た理由】
家族に昔のように笑って過ごして欲しかったから。
備考に書いてあるように、彼女には持病があり、幾度となく入退院を繰り返してきた。家族には大きな負担を昔からかけ続けていた。本人にはそれが本当に辛いことであり、だんだんと精神を病んでいった。そして彼女が選択したのは海に溺れていなくなること。自分がいなければ、家族が迷惑をかけられることもなく、幸せに暮らしていけると信じてやまなかった。そうして、海に来た際に声をかけてきたのが修道女。修道女に噂の手順を教わり、深海のまちにたどり着いた。
「 死ぬのがちょっと早まっただけ。これが運命 」
【失くしたもの】
声
過度なストレスから来る失声症。
耳が聞こえないわけでも昔から声を出すことが出来ない訳では無いので、言葉はちゃんと伝わる。コミュニケーションも取ろうと思えばとることが出来る。ただ相手に伝わりにくいことが多いだけ。
数年前、彼女が入院していた際に発症した。
声を出そうとして、口を変えても上手く声が出ない状態。本当に焦った時などに反射的に声を出そうとすると掠れた小さな声がごく稀に出ることもある。ただ、何かを言おうとしても「あ"」といったくぐもった、近くにいないと聞こえないような声しか出すことは出来ない。出ても1文字分位しか出ないため、会話は不可能。
声が出ないため、話す時はいつも持ち歩いているスケッチブックに書いて伝えることが多い。
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作者名:兎依 | 作成日時:2022年7月11日 13時