防御特化と魔術特化とデート。 ページ38
……とはいえ、まだまだイベントまでは少し時間はある。
「ねぇねぇカナデ!」
「んー?」
今日は二人だけで過ごすことになっているが……
「どうしたの?」
「えっとね……カナデと行きたいところがあるの!」
ふんすと鼻を鳴らし、興奮混じりにカナデに画面を見せる。
「ここ! ここに綺麗なレストランがあるんだってサリーが!」
「あぁ〜……ね」
きっと名前が出ていないだけでAも背後にいるのだろう、と一瞬で思考が巡り、しかし次の瞬間にはそれを放棄する。
そんなことはどうでもいい。
「えーと、つまりデート?」
「っ……うんっ!」
一瞬顔をほんのりと赤らめるが、すぐに頷き肯定する。
「そっか、なら今から行く?」
「あ……えっと……夜にしか行けないみたいで……」
「あー、時間限定のイベントかあ……あ、それだったら良い感じの場所知ってるけど先にそこ行く?」
代替案を出してみれば、すぐに目を輝かせて頷き返してくる。
「うんっ! 行く!」
「おっけー、じゃあ決まりだね」
乗る? とおんぶを促せばすぐによじ登ってしがみついてくれる。
少しでも重さを軽減するために鎧は脱がれているため、メイプルの華奢な体が二枚の布越しに伝わってくる。
「行くよー」
「おー!」
それに気付いているのかいないのか、カナデの顔に小さな胸を当てながら体を少し前に乗り出す。
取り敢えず走り出し、草原を駆ける。
「おー!」
サリーには及ばないが、それでも50はあるAGIならそこそこ速く走ることが出来る。
魔法使いとしてはそこそこ十分なものであろう。
「カナデ、どのくらいなの?」
「うーん、僕の脚だと……ざっと十数分かな?」
「なるほどー」
少し長いかもしれない。
やはりもう少し初めからAGIに振っておくべきだったかと若干後悔の念を覚えるが……
「やっぱりカナデ凄いなあ……私なんて最初の森に行くのに三十分もかかるんだよ?」
「あはは……それはメイプルが振って無さすぎだと思うんだけどなあ」
しかしメイプルの屈託の無い笑顔にその全てが押し流される。
「まあ……うん、役に立ってるならいいかな」
苦笑いを返しながら、メイプルを背に乗せて走り続けるカナデ。
まだ暫く目的地まではかかりそうだ。
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リョウナ - 深緑クロロさん» ありがとうございます!!お互いに頑張りましょう!! (6月21日 8時) (レス) id: 25016b7547 (このIDを非表示/違反報告)
深緑クロロ(プロフ) - リョウナさん» ありがとうございます、そう言っていただき嬉しいです!自分も誰かに助言なんて言える立場じゃないんですが、とにかく自分のやりたいように楽しく書いていくのが一番だと思っています。何事も楽しくなければ良い物を作ることは出来ませんから。お互い頑張りましょう! (6月20日 17時) (レス) id: 3d6a53223e (このIDを非表示/違反報告)
リョウナ - この作品、めちゃくちゃいいですね!!あと、書くのが上手すぎます!!それで、もし出来たらなんですけど、うちの作品にアドバイスをくれませんか?お願いします!!これです→https://uranai.nosv.org/u.php/novel/heoaud/ (6月20日 15時) (レス) id: 25016b7547 (このIDを非表示/違反報告)
黒炉@深緑ノ支配者@全初卓部員(プロフ) - 幽霊さん» ありがとうございます!これからも更新続けていくのでよろしくお願いします! (2023年5月11日 16時) (レス) id: 3d6a53223e (このIDを非表示/違反報告)
幽霊 - この作品好きです!めっちゃ大好きです!!更新とか頑張ってください!! (2023年5月11日 13時) (レス) @page29 id: fbfc17f9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ:No.
作成日時:2023年2月25日 15時