回避特化と窮地。 ページ35
立ち止まってはいられない。
目の前には大量のモンスター群。
これをノンストップですり抜けて行かねば【超加速】は手に入らない。
スリーブビートルの群れが一目散に突撃してくる。
「……【蜃気楼】」
己の幻影を逆に走らせれば、狙い通りそれらは虚無空間へと突撃していく。
しかし蜘蛛の方はそうも行かず、的確に追いかけてきた。
「バレてる……! 【ダブルスラッシュ】!」
片手で二回、計四回の斬撃をすれ違いざまに叩き込み撃退を試みるもまだ火力不足。
残り四割程と言ったところか、しかし数が多く一体一体仕留めていく余裕はない。
「くっ……トレントもキツイ……っ!」
尋常でない数のモンスターがそれぞれの意思で迫り来るもんだから質が悪い。
その癖蜘蛛はかなり素早く、自分とほぼ同速。
足を止めれば追い付かれるのは火を見るよりも明らかだ。
「【大海】!」
足元から水を広げ、触れた蜘蛛を減速させて距離を取る。
「【ウインドカッター】!」
放たれ道を塞ぐ根を断ち切り、更に先へ先へと道を急ぐ。
足場の悪い森の中、大群の中を走り抜けないといけないという事実がサリーの神経を着実にすり減らしていっていた。
何せこの耐久なんて知らない体では一撃掠るだけで即死は免れることが出来ないだから。
さらに自然の中故のぬかるみに段差、樹木の根が足を取りに来る。
……そして、更に凶報は積み重なる。
「またカブトムシ……いや違う……!」
聞こえてきたのは鋭い羽音。
風を裂くようなその音に思わず振り返れば。
「……嘘」
この森の中、滅多に出現しないレアモンスター。
背後から迫るのは巨大で風魔法を操る蜻蛉、その名も風蜻蛉。
追い風を自ら吹かせ、鬱蒼と茂る木々をものともせずに高速で飛翔してくる。
「本当に運が悪いっ……!」
己の不運に悪態をつきながら、しかし止まる訳にはいかない。
戦っている余裕すらないなら、とにかく即座に判断して避けきるしかない。
「……ふぅー」
ここからが最後の踏ん張り所だと、更に己を奮い立たせて走り抜けるのだった。
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リョウナ - 深緑クロロさん» ありがとうございます!!お互いに頑張りましょう!! (6月21日 8時) (レス) id: 25016b7547 (このIDを非表示/違反報告)
深緑クロロ(プロフ) - リョウナさん» ありがとうございます、そう言っていただき嬉しいです!自分も誰かに助言なんて言える立場じゃないんですが、とにかく自分のやりたいように楽しく書いていくのが一番だと思っています。何事も楽しくなければ良い物を作ることは出来ませんから。お互い頑張りましょう! (6月20日 17時) (レス) id: 3d6a53223e (このIDを非表示/違反報告)
リョウナ - この作品、めちゃくちゃいいですね!!あと、書くのが上手すぎます!!それで、もし出来たらなんですけど、うちの作品にアドバイスをくれませんか?お願いします!!これです→https://uranai.nosv.org/u.php/novel/heoaud/ (6月20日 15時) (レス) id: 25016b7547 (このIDを非表示/違反報告)
黒炉@深緑ノ支配者@全初卓部員(プロフ) - 幽霊さん» ありがとうございます!これからも更新続けていくのでよろしくお願いします! (2023年5月11日 16時) (レス) id: 3d6a53223e (このIDを非表示/違反報告)
幽霊 - この作品好きです!めっちゃ大好きです!!更新とか頑張ってください!! (2023年5月11日 13時) (レス) @page29 id: fbfc17f9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ:No.
作成日時:2023年2月25日 15時