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まずは醬油を垂らし、サーモンを米と一緒に口に運ぶ。
「…!ふまっ…!?」
舌の上でとろける様に消えたサーモンから、じんわりと甘みが伝わってくる。
柔らかくもしっかりとした味があり、そこからもこのサーモンは上物であることが伺える。
「…これ、は…相当だぞ…!」
当たりの中の当たり、大当たりを引けたと内心ガッツポーズを取る彼の箸が、今度はよくわからない魚の物へと向かう。
「これは…何だ…?」
何かの肝だろうか。
よくわからないが、取り合えず食べてみる。
「…旨い…脂がすげぇ乗ってやがる…!」
独特の渋みがありながらもその裏で甘みと旨味が主張し過ぎない程度に感じられて非常に美味しい。
どんな魚かは分からないが、とにかく美味しい。
帰ったら調べてみようと思いながらも、箸はどんどんと進んでいく。
やがて刺身もなくなり、最後に残った米にあらだしをかけて食べていく。
…やっぱり旨い。
単純ながらも旨味がしっかり出ており、手間暇かけて出汁を取られたのであろうことが容易に推測できる。
「…ふぅ、ごちそうさまでしたっと」
手を合わせ、席を立った時にはもう彼の腹は満腹を飛び越えて幸せに満たされていた。
「今度あいつらも誘うか!絶対喜ぶだろうな…!」
幼馴染たちの笑顔を思い浮かべながら、会計を行う。
「はい、1100円になります」
「あれ…思ったより安い、だと…!?」
正直2000円は払う気でいたのだが、これは拍子抜けだ。
これは余計にリピートするしかないだろう。
完璧に満足しきって帰る彼に、後方から声がかけられた。
「ありがとうございました!ご満足いただけたのでしたら、私共も幸いですので」
「いや、こっちこそ美味しかったです。また友達連れて来ます!」
確信と感謝を込めて返せば、更に嬉しそうな声が返ってくる。
「そうですか!美味しいお魚を皆さんに食べてもらえることが一番の喜びですからね!」
その大柄な体からとはいい意味で似合わない、穏やかながらも優しく、それでいて朗らかな笑み。
そして純粋に他人の幸せを願う言葉に、彼は笑顔で返して店を出て行ったのだった。
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鈴桜(元シオン)(プロフ) - この海鮮丼食べてみたいです!! サーモンに、マグロ、ホタテにイクラ……凄い事だし…値段もてごろなのは…読む側にも面白いです! (2023年2月22日 13時) (レス) @page6 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2023年2月4日 23時