大盾使いはだいだらぼっち。 (ページ3)

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VS集団戦ページ3

時は変わってあるバトルロイヤルイベントにて。

｢さて…と。取り合えず今のところは順調、だな｣

油断なく大盾を構え周囲を警戒するミツム。

彼の背後で、草むらが揺れたような気がした。

｢もらったァッ！｣

そして振り下ろされたのは大きな大剣。
人の身程もある長い剣が、その脳天をカチ割らんと風を斬った。

…しかし、それは刹那振り返ったミツムの大盾に防がれる。

｢なっ…!?｣
｢流石に奇襲くらいでダメージ負うほど柔じゃねーよ｣

奇襲が上手く決まったと思っていた彼が驚愕する中、ミツムの盾がその体に打ち付けられた。

｢があっ…！？｣

到底盾による殴打とは思えない破壊力。
その重い一撃は、たった一発でそのプレイヤーを死体に変えた。

｢ペース悪いな…やっぱ低速の俺にはちぃと厳しいか？｣

ミツムのステータスは迎撃に特化している為、こちらから向かって倒しに行くことはあまり得意ではない。

その為やってきたプレイヤーは全員倒すようにしているのだが、それでも何とか上位入りは目指せそうだというくらいである。

｢…お？大所帯か｣

ミツムの前に立ちはだかったのは、ざっと20人ほどの弓使いと魔法使いの軍勢。

バトルロイヤルとは言ったが、別に協力し合ってもいい。
それが戦術なのだから、どう戦うかは自由なのである。

｢撃てェーッ！｣

恐らくそのリーダー格であろう男の号令に合わせ、大量の飛び道具がミツムを襲う。

｢…まぁ、やるか。【大防御】【激流】｣

ミツムが発動したスキルにより、防御力が向上した代わりに機動性を失ったその体を、背後から流れてくる激流が押し進める。

｢なっ…!?この数だぞ!?｣
｢何で…生きてこっちに来てるんだ!?｣

その光景に動揺せざるを得ない彼らへと迫るミツムのHPバーは、殆ど減っていない。

自身は防御のみに集中しているからだ。
自分に当たる物だけを完璧に弾き、防ぎ、受け流す。

そして、そのスキルの効果範囲内に、全員が入った瞬間。

｢今だな、【防波堤】｣

それは、己や仲間の身を守るべく展開される、質量をもった通り抜け不可の水の壁。
しかしミツムはそれを、MPを多く消費することで己の周囲を囲い込んだ(・・・・・・・・・・)。

｢逃げ…られねぇ!?噓だろ!?｣
｢くっ、総員！撃て！撃てーッ！｣

必死に抵抗するも、次第に距離は詰められていく。