流星に願いを ページ9
｢っ、ぐっ…まだ、まだ負けねぇ…！｣
痛む体に鞭打ち、再び立ち上がる。
そんな彼に対し、魔王は宙へ生み出した足場の上でこちらを見下ろしていた。
｢…アンタ、何のためにそこまで戦うんだ？｣
｢…何のため、か｣
ゆっくりと立ち上がり、再び銃を構える。
｢仲間の為…
咆哮と共に、再び床を蹴る。
強く蹴られヒビ割れた床の破片が小さく飛ぶ。
｢…ほぉ｣
｢あいつらの笑顔を！平穏な日々を！笑い合える世界を作るために！俺は負けられないんだ！｣
そう叫ぶ東矢の体に、光が集まり始める。
徐々に加速していく体、そこにやがて輝かしい煌めきが宿り、やがて小さな流星として空へと昇っていく。
それをじっと見つめるマールド。
その瞳が閉じられる。
｢うおおおおおっ！｣
全力で振り抜かれた拳は、大気との摩擦により熱を帯び、まさしく隕石となり魔王へと襲い掛かる。
勇者の想いを乗せた全身全霊の一撃を前に、魔王は不敵に笑っていた。
その右手に炎と雷を。
その左手に光と闇を。
それぞれ纏わせ真正面に構え、勇者の拳を受け止める。
凄まじい魔力同士がぶつかり合い、壮絶な衝撃波が辺りを破壊し、光が辺りを覆い尽す。
｢ぐぐぐ…うああああああっ！｣
｢…凄い、な。お前さんは｣
全力を振り絞る勇者に対し、魔王は語り掛ける。
｢…大切な人の為に、そこまで出来るのか。すげぇよ。｣
…でもな、とおいて魔王は続ける。
｢でもな、それとこれとは別だ。｣
その穏やかに細められた目が、ギンと見開かれる。
｢譲れないのは…僕だって同じだ｣
その叫びと共に、一気に魔力が解き放たれ、徐々に勇者の体が押し戻される。
｢…へへ、ひとまずゆっくり休め、勇者さんよ｣
その優しい声とは裏腹に、身を焦がす強烈な魔力が勇者へと降り注ぎ、その体を剝き出しの鉄筋に叩きつける。
その一撃で全てを使い果たした勇者の変身が解け、東矢が倒れ伏した。
｢…｣
その姿を、ただじっと、マールドは見つめていたのだった。
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クロロフィル＠リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます！これからも更新頑張りますね！ (2023年1月14日 20時) (
レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http
作成日時：2022年12月29日 21時
