不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

ちび夢主 26 ページ9

彼のその言葉にシフォンさんは
涙を浮かべながら
牢屋の棒を強く、ガンッと握りしめる


「ペッツを返して!!私たちの子よ!!」


「嫌よォ・・・・
・・アンタたち世間知らずねぇ
海賊の子が、世間からどう扱われるか
どうせ知らないんでしょ・・」


彼は椅子から立ちあがり
カツカツ、と牢屋の前に立つ


「偶然、海賊の子に産まれただけで
その子供は何もしてなくても・・・
犯罪者として扱われるのよ・・・
貴方も母親なら、嫌でしょ、そんなの」


「・・・ッ」


否定のできない言葉に
シフォンさんは押し黙ってしまった

しかし、誰かが、駄目だと
小声でそう呟いた
声の主は、今度ははっきりした声で


「・・・・ッ駄目だ、そんなの」


「ロシー・・・」


声の主はロシーさんで
彼は俯いていた顔を上げて
真っ直ぐと、奴を見ながら立ち上がり
震える足で奴の前に立ちはだかる


「・・何か御用かしらン?」


「あぁ、一言、言わせてもらうッ!」


ロシーさんは震える声で言い放った


「愛情ある親子を引き離すなんて
そんなこと、元海軍でも、誰でも
許されることじゃないぞぉッ!!

俺は知ってるんだ!二人が!
子供をどんなに愛しているかッ!!

い、今すぐ、みんなの子供を
返してくれー−−−!」


はーはー、とロシーさんは
息切れを起こしながら
奴の顔をギ、と睨み続ける


「・・・いい父親じゃなァい
惚れちゃうわン」


「ひぃっ!!俺はマリィ一筋だッ!」


「貴方、カッコよかったわ!」


「マリィ〜!」


二人は抱きしめ合いながら
奴の傍から、ささっと離れる
確かに、今のカッコいいねぇ!
触発されて後ろの二人も
早く元気になってくれないかなぁ、と
ちらっと後ろを見ると


「あ、あれ、隊長とベッジさん」


何処に行ったの、と
再び前を向こうとした時
突然強い風が巻き上がる


「きゃー−−−!」


「何してんの、しっかり」


「な、なーすちょおお」


ナース長に体を抑えてもらって
なんとか飛ばされなかった
粉塵が巻き起こって
ガシャン!!!と金属音が大きく鳴る


けほけほ、とせき込む中
粉塵がおさまってから、周りを見渡すと
シフォンさんが、ロシーさんと
マリィさんの肩を抱いて
飛ばされなかったらしい

そして気が付くと牢屋が壊されており
目の前には二人の影が見えた


「やっと動けるな・・・」


「あぁ、あの霧はもう喰らいたくねぇな」


「隊長〜!ベッジさ〜ん!!」


二人は生き生きと
能力を使用できていた
良かった”ぁ〜〜〜〜〜!!!

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