不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

未来への話 10 ページ44

1週間ほど前のことを思い出して
自分の情けなさに、苦笑する

彼女の頬にそっと手を伸ばして
手の甲ですり、と頬を撫でた


「・・・っふふ、もう・・
・・マルコさん、早く寝よ」


「ん・・・悪い・・・・」


Aの声がふにゃふにゃしてきたのと
瞳の奥がまどろんできたのを見て
可愛いなと思いながら
ギ、とベッドの中に潜り込み
彼女に触れないように寝る姿勢になった


「じゃあ明り消すよぃ」


「うん、お願い・・・・」


ふぅっと、机の上の明りを消して
彼女に背を向け、瞼を閉じた


「おやすみ・・・」


「おやすみなさい・・」


互いに言葉は交わさずに
そのまま、眠りに落ちようとした時
ポケットの辺りに手が当たって
カサ、と音が鳴った


「・・・!」


ポケットの中に手を突っ込んで
彼女の眠りを妨げないように
その紙切れをポケットから取り出すと
夕食前に隊員からもらった
宿のペアチケットが
あったことを思い出した

・・・せっかくだが
このペアチケットは
役割を果たさないだろう
明日、この券は返しに行こうと
ポケットに再びしまおうとした、が

俺のことを待ってくれている
彼女の言葉を思い出す


＿＿＿＿訳はマルコさんが
話したいタイミングでいいからね＿＿＿


・・・いつまで俺は
甘えているつもりだ・・

ギュ、と手にしたチケットを握り
彼女の方に寝返って声をかける


「・・・・A」


「・・・んー・・・・?」


「そのままでいいよぃ・・・
・・・少しいいか?」


「・・・いいよう・・」


Aはゴロン、と俺の方を向いて
なぁに、とふにゃふにゃした声で
俺の要望に応じてくれた


「・・・今日、夕飯時に
隊員からリゾートホテルの
ペアチケット貰ったんだがよぃ」


「ふへぇえ・・行きたい・・・」


「ぐ、ふふっ・・・」


表現は悪いが、話し方が
阿呆っぽくて可愛くて
口を手で抑えて、なんとか笑いを耐える


「・・・っそ、そうだな・・!
俺も行きたいから、次の島に着いたら
時間見つけて行こう・・」


「うん・・・!」


表情はよく見えないが
彼女は嬉しそうな声色で返事をすると
眠たそうに欠伸をした
彼女が眠ってしまう前に、と
慌てて俺は付け足す


「その時に、詳しい訳は話すよぃ・・・
・・・待たせて悪かっ・・」


「ぐぅ・・・・ぐぅ・・・」


「ね、寝ちゃったよぃいぃ・・・」


少し残念に思いながらも
変わらない彼女が愛おしくて
ふ、と笑いながら
彼女に布団をかけ直して

自分も目を閉じ、眠りに落ちた

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