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未来への話 8 ページ42

食堂で夕食を終えて
寝支度を整えてから
自室に戻ると
Aが既に机の上で顔を顰めていた


「あ、ごめんなさい」


「難問みたいだな・・・
そのままでいいよぃ」


彼女は渋い顔をしながら
ありがとう、と礼を言って
再び机の上の資料に目を向けた

後ろの本棚から一冊取って
ベッドに腰を下ろし
パラ、とページを捲って時間を潰す


本を読み進めていると
Aがぐーっと伸びをしたので
パタンと本を閉じて棚に戻し
後ろから彼女の頬を包み込んだ


「ごくろうさん」


「ありがとうございますぅう〜・・
ちょ、ちょっと、ほっぺ、揉まないで」


「ン・・・」


俺は不満げな声を漏らしながら
彼女の頬から手を離した

Aは笑いながら椅子から立ち上がり
振り返って、恥ずかしそうにしながら


「抱きしめてもいいですか?」


「・・・・あぁ、大丈夫だ」


お願いする、と言って俺は
両腕を彼女に触れないように上げて
良かった、と彼女は安心しながら
遠慮がちに俺を抱きしめてくれた


「・・・うん、ここら辺でいいや」


「も、もういいのかよぃ?」


「うん、満足した!」


ぱっと手を離されて
Aは満足そうにベッドに腰かけて
いそいそ、とベッドの奥へ潜り込み
壁側を向いて寝る姿勢に入った

その様子を見て、ズキ、と心が痛む
俺もベッドに腰をかけて
布団の中に潜り込む前に


ごめん、と彼女に謝った


すると彼女は寝たまま
壁側からこちらに振り向いて


「いいんだよ、マルコさん
・・・話したい時でいいよ、本当に」


ね、と優しく彼女は微笑んで
俺を責めるどころか
逆に、大丈夫だから、と
寄り添ってくれた


「・・・ありがとう」


じわ、と目頭が熱くなる
あの時もそうだった
・・あの悪夢を見た日の朝も
彼女は追求せずに
優しく寄り添ってくれた



--------------



一度、悪夢に魘されて
目覚めた時とは違い
今度の目覚めは穏やかだった

はー、と息を吐きながら
ベッドから起き上がると
Aは既に起きて、服も着ており
あ、と嬉しそうな声を上げた


「おはよう、マルコさん」


「・・A・・・・」


途端に、夜に見た悪夢が
フラッシュバックして
咄嗟に彼女の顔から
バッと目線を下に逸らした


「ッ・・・・すまねぇ・・」


何かへの恐怖の所為なのか
俺の口はまるで
自分のモノではないように動く



しばらく距離をおきたい、と



言葉を放った瞬間に
何故か、俺の瞳に涙が
こみ上げてくるのを感じた

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ロモォコ - lemonade066さん» 何度もすみません!こちらが18金枠のURLでございます! https://uranai.nosv.org/u.php/novel/mayoneisis/?fr=first_url   今後ともよろしくお願いいたします!!  (2022年8月26日 23時) (レス) id: a0d4487acc (このIDを非表示/違反報告)
ロモォコ - わぁあぁああコメントありがとうございます!!すみません!18金枠のURLwoコメント欄に貼っておきますね! (2022年8月26日 23時) (レス) id: a0d4487acc (このIDを非表示/違反報告)
lemonade066(プロフ) - すごく良かったです!!18金枠はどうやったらみれますかね…! (2022年8月26日 16時) (レス) id: 66d7fc9173 (このIDを非表示/違反報告)
ロモォコ - あやさん» いつもありがとうございます!!本当に励みになっております!!これからもよろしくお願いいたします!! (2022年8月13日 23時) (レス) @page32 id: a0d4487acc (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 独占欲が最高すぎますねれなんか上手く言えないけど最高すぎる壊れ方です!愛してるからこそここまでなってしまう感じが良い!これからも応援してます (2022年8月5日 0時) (レス) id: 95a1685357 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ロモォコ | 作成日時:2022年4月12日 20時

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