不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

ちび夢主 21 ページ4

「でも、そういうのって
お高いんですよね?」


「・・・そんなことありませんよ?
無料です〜、タダ!」


「えー、タダほど怖いものはないって
親父が言ってたので〜、遠慮します〜」


「わ、私たちも遠慮します・・」


ロシーたち一家が
男の手から離れて去ろうとした時


「・・・そうですか」


男がパチン、と指を鳴らすと
メイド服を着て顔を
仮面で隠す長身の女たちに
瞬く間に囲まれてしまった


「な、なんですか、貴方たちはっ」


「ンンン〜プロの、ベビーシッターです」


仮面をつけた不気味なベビーシッターらは
赤ん坊を抱く俺たちに
ぬるり、と近づいてくる


小声でナース長が
Aを渡すなと警告を出す
無論、そのつもりだ
そしてベッジに視線を移し
ベッジもこちらに気が付いて
ロシーたち親子に声をかける


「兄ちゃんたち、俺たちの後ろに居ろ」


「ベッジさん・・・?
・・分かりました・・・
マリィ、俺の傍に」


「なんなの・・・?」


ベッジたちと、俺たちは円陣を組み
ロシーたち親子を円の中心に置く
対峙する男と周りの女たちは
そのまま近づくことはなかったが

男の口角が上がった瞬間
バサ、とメイドたちが
火炎放射器のような武器を
懐から素早く出して


「殲滅〜〜!!」


「ッ!!」


瞬時に不死鳥の炎で
全員を守る盾を生み出したが
噴射されたのは、炎ではなかった
なんだ、これは、霧・・・・
息を吸い込んでから、咄嗟に
口と鼻を手で覆った


「ベッジ!吸うな!」


「分かってらァ・・」


「ン〜〜〜、無駄無駄ァ
これは皮膚に付着しても効果バッチグー」


「まさか、これ・・・海楼石!?」


能力者である俺とベッジには
すぐにその効果が現れた
体に力が入らなくなり
膝を地面についてしまった


「隊長!」


「ベッジ!」


「マルコさん!ベッジさん!!」


や、べぇ、意識まで飛びそうだ・・
気を失う前に、ナース長たちに
Aを預けて、彼女ら、だけ、でも
カチャ、と
ベビーキャリアのベルトを外して
Aをナース長に預けようとする時

顔を上げると、そいつはナース長ではなかった
不気味な仮面が、Aを抱き上げる


「やめろ、かえ、せ・・・ッ・・」


そいつの足を掴んで止めようとしたが
力なく離されて、自分の視界が歪んでいく
意識も遠のいて、耳しか
機能しなくなっていく








ああぁう、まぁま・・・?
まーま、まぁま!!

う”ぇ、う”わぁぁぁぁぁん・・・


まぁまー・・・・・!








あの子の、声も
もう、聞こえない

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