不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

ちび夢主 34 ページ17

赤ん坊がやってきてから
1か月が経とうとしていた
今まではAの様子は変わらなかったが
しかし、元に戻る日になると
急に大人しくなって眠ることが多くなる


「病気・・・ではないわね」


「隊長は戻るとき
どんな感じだったんですかー?」


「・・・眠くなることはなかったよぃ
ただ、戻る瞬間だけ
酔ってるような感覚だったな・・・」


「ふむふむ、なるほどぉ」


「食欲はあるみたいなんだよ
飯の時間になると、目を覚まして
いつもと同じ量を食べるし

でもなぁ・・・・明らかに
寝てる時間が多いしよォ」


サッチも心配そうに
彼女の顔を覗き込む
熱はないし、脈も正常
咳もなければ、吐き戻しもさほど


「仕方ねぇ、戻る予兆だと信じよう」


腕の中で眠っていたAを
小さい顔を肩に乗せ、ぎゅっと抱き上げる


「少し席を外すよぃ
寝かせてくる」


「マルコは傍にいたほうがいいだろ」


「そーだよ、ママなんだから」


「ン”ッ、ママじゃねぇ・・・」


とはいえ、一人で寝室に寝かせておくのは
なんだか心配になってしまうため
エースたちの言葉は有難かった

医務室を出て、そのまま自分の部屋へ行く
ガチャ、と扉を開けて
Aを自分のベッドに寝かせておいた

魘されることなく、よく寝ている
眠る彼女の小さな頭を撫でて
俺はゆっくりと、彼女の横に寝そべる


「今日で俺とはお別れだな・・・
両親によろしく言っておいてくれ」


彼女は答えることなく
すやすやと寝息を立てて寝ている
開いた口からよだれが垂れてきたので
笑いを耐えながら起き上がり
机の横の棚からタオルを取り出す


「まったく・・・
可愛い寝顔だよぃ・・・」


独り言を言いながら振り向くと
そこには


「A・・・・!!」


赤ん坊の姿ではない
俺の知っているAが
こちらに背を向けた態勢で
ベッドの上で寝息を立てていた


「なんだ・・・寝てるのかよぃ」


久しぶりの再会で
ぎゅうと抱きしめたかったが
睡眠の邪魔はしないでおいた

だが、寝顔を見るくらいは、と
手に取ったタオルを棚に戻して
ギシ、と彼女が眠るベッドの上に上る

そしてAの髪の毛をかき上げながら
顔をそっと覗き込むと
彼女が何も着ていないことに気が付いた

それどころか、首元や胸元には
歯型と、赤い痕
俺がつけたものじゃない
まだ新しい・・・・・

不穏な考えが脳をよぎり
ざわざわと胸が騒がしくなった

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