不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

ちび夢主 29 ページ12

奴の鞭のおかげで
なんとか3人の赤ん坊たちが
絡みとられ、上に持ち上げられて
牢屋を通して姿が見えて
少し安心した


「まぁまー−−!!!
うわ”ー−−−ん!!!」


「Aッ・・・
大丈夫、大丈夫だからな!
もう少しで・・・」


瞬間
後ろの巨体が動いて
大きな目が俺たちを睨む
グルル、とドラゴンが唸った瞬間


「ッンンン!!」


一気に奴が鞭をぐいっと引いて
3人の赤ん坊たちは牢屋を出て
俺たちは焦って赤ん坊たちが
落ちてくるところに駆けつける

自分の元に戻ってきたAを
ぎゅうと、抱きとめた


「A〜!!怖かったな・・!
もう大丈夫だ、ごめんなァ・・
怪我はないかよぃ・・」


「うー、まぁま!」


怪我はなく
元気に俺の顔を見て
満面の笑みを浮かべていて
そのことに酷く安心して
自然と涙が零れてしまった


「ふ、はははッ・・・
無事で、本当に良かった・・・」


「まぁまー・・・」


「ふふ、俺は大丈夫だよぃ・・・」


ぎゅうと優しく抱きしめて
ふっと、檻の中を見ると
不気味な大きな光の瞳が
こちらをじっと見つめていた

そして急に牢屋からドラゴンの尾が
俺とAを絡めとる
逃げようにも、大きな瞳に捕らえられて
体を動かすことができなかった
唯一できることは
Aを離さないように、強く
強く抱きとめることだけ

大きな尾に覆われて
真っ暗な闇に閉じ込められた時

誰かの声か分からない
謎の声が頭の中に直接聞こえた


『異界の子か』


「うッ・・・だ、誰だ・・
気持ち悪い、話しかけ方・・
・・・すんじゃねぇ・・ッ」


『私は空間を駆けるドラゴン
今はあの男に協力してやっている』


「まぁま・・・?」


「ッだ、大丈夫、だよぃ・・」


彼女は心配して小さな手を
俺の顔に当ててくれた
その小さな手にそっと頬を寄せる


『連れてきたのか』


「そうだ・・俺が・・攫ってきた・・」


声の主は、あの白いドラゴンのようで
俺の答えに、フゥウゥと
大きな息を吹きかける


『・・・・ハハハ、なるほど
愛し合っているのか・・』


「ンッ、何を知ったように・・!」


『私の能力だ・・・
息吹によって、その者の背景が見える』


「そう、かよぃ・・・」


『ハハハ、必要な能力だよ
君が悪意でその子を攫ってきたのなら
私はその子を保護する義務があった・・』


ドラゴンは、だが、と言いながら
俺たちを覆う尾をゆっくりと放していく


『解放する前に、一つ
忠告を出しておこう』

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