不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

ちび夢主 19 ページ2

Aを紹介しながら
覗き込むと、買った鳥のぬいぐるみを
ずっと握りしめて見つめていた


「あはは、鳥が好きなんですねぇ」


「ちゅんちゅう」


「ンフフフ、可愛いよなァ・・」


「ほんと・・・子供は天使ですよねぇ」


彼も自分の息子であるコラソンを
覗き込みながら、頬を緩ませた
二人で互いの赤ん坊のことを
語り合っていると、後ろからまた
赤ん坊の泣き声が聞こえた
ふっと後ろを振り向くと


「よ〜ちよちペッツ〜
ママはもうすぐ帰ってくるからなぁ〜
・・・・っげ」


「よっ、ベッジ」


「あ、お知り合いですか?
どうぞ、こちら座ってください〜」


俺はわざと馴れ馴れしく挨拶した
ベッジは嫌そうな顔をしながらも
俺たちに向き合うような形で
反対側のベンチに座った


「何してるんだ、ふ」


「あーっと、そっちの呼び方はだめだ」


「・・・何してるんだ、マルコ」


ベッジは腕の中の息子をあやしながら
低い声で俺に聞いてくる
もう息子は泣き止み始めている
さすがだなと心の中で感心した


「ハハハ、何って・・
父親の座談会だよぃ」


「そういえばお名前・・
マルコさんって言うんですね〜」


「あぁ、よろしくな」


「マルコって名前・・・
あの白ひげの右腕の不死鳥と
同じ名前ですよね・・・?」


「ヘ、ヘェーソウナノカー
偶然ダナー・・」


なんで堅気がそんなこと知ってるんだ
本当に変装してきてよかった・・


「えっと、それで貴方はベッジさん?」


「あァ、よろしく兄ちゃん」


「よろしくお願いします!
僕の名前はロシー、この子はコラソンです
ベッジさんのお子さんの名前は・・」


「ペッツだ、いい面してるだろ?」


「えぇ、ベッジさんそっくり・・!」


「うぅー」


ベッジの息子は泣き止むと
すぐにおしゃぶりを咥えて
ご機嫌になった様子だった


「まさかマルコに子供までいたとは・・」


「・・・まぁ、実の子供じゃねぇけど」


「えっ!?そうなんですか・・・」


「色々、訳が重なってよぃ・・」


「・・・・その子の名前は?」


「Aちゃんだよぃ」


黙ってろよ・・、と目線で
ベッジに伝えるが、伝わるか・・?


「・・・あぁ、なるほど」


ベッジは納得したような表情で
それ以上詮索されることはなかった
良かった、勘のいい男で


「二人とも今日はお買い物ですか?」


「妻がね、ここの店の服の
評判を聞いて・・
それで買いに来たんだ」


「僕もですよー」


妻、という単語を聞くだけで
彼女が恋しくなってしまった

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